日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『シキシマハナダイ』静岡県/沼津沖産~日本全国☆釣り行脚

暑くもなく寒くもなく、梅雨入り前のすごしやすい今の季節。春のうちはまだ安定しなかった水温が上がり始め、魚たちの活性も上がってくる時期といえます。


せっかくよい季節なのだし、なにか面白い釣りはないものかと考えているところに、船釣りのお誘いをいただきました。貧乏症のワタクシですから、船釣りなどする機会なぞはめったになく、ありがたく御相伴にあずかることにしました。


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当日、出船時間となる朝7時に静岡県の沼津港に集合。通常であれば出船の1時間くらい前に到着したいところですが、今回はわりとラフな雰囲気。というのも、釣り船には大きく分けて、知らない人同士で乗り合わせる「乗合船」と、仲間内で船を貸し切る「仕立船」があって、今回お世話になる、沼津〝大翔丸〟は仕立船なので極めて和気あいあいなのでございます。


そして、これも仕立船だからこそ許される、氷で満杯の大きなバケツに大量のビールなどの飲料を船に積み込み準備完了。竿やリールの貸道具も完備されて至れり尽くせりの船に乗り込み、どことなく哀川翔を彷彿とさせる船頭さんの「それじゃあ行ってみましょう〜」の声で出港です。

海から富士山を望む絶景が

沼津港のシンボル〝びゅうお〟をくぐり抜けて港の外に出ると海はベタ凪。天気もよく、遠く富士山を望む海からの絶景は、もうこれだけで船に乗った価値があるというものです。「ポイントまでのんびり走るので、皆さん楽しくやっててくださ〜い」という船頭さんの粋な計らいもあって、釣り談義に花を咲かせつつ冷えたビールをグイッと一杯。プハァ〜、朝から贅沢な時間です。静浦〜西浦と、しばし海からの眺めを楽しむうちに船は大瀬崎の岬を越えたあたりでエンジンがスローダウン。いよいよ釣り開始となる、このスローダウンの瞬間のワクワクがまた何とも言えません。

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「じゃあ、やってみましょう」のアナウンスで皆さま、一斉に仕掛けを下ろします。ところで今回、船宿に用意していただいた仕掛けとエサは、タイやイサキ、アジなどが狙える天秤カゴ仕掛けとオキアミです。対してワタクシが自分で用意した物は、市販の胴突仕掛けにスーパーで売っていたイカソーメン。これは〝こだわりがある〟などという崇高なことではなく、単に、腕の悪いワタクシでも単純かつ簡単に小物が釣れて遊べるから、という理由です。カゴから溢れる寄せエサとハリに付けた付け餌のタナを合わせて同調させる…なんて、ヘッポコのワタクシには難しすぎますから…。


さて、開始早々に隣ではイサキが上がり、サバやアジ、時にはアマダイまで釣れ上がり賑やかな船内。ワタクシにもポツポツとアタリがあり、釣れるのはサクラダイやシキシマハナダイ、ヒメといった、いわゆる外道のオンパレード。でも、いいんです。せっかく沼津に来て船に乗せていただいたのですから、普段、陸っぱりの釣りではあまり目にすることのない、ちょっと深い所にいる有象無象が釣れるだけで嬉しくなってしまいます。

旨味が濃くクセのない白身

そんな中、なにやら船内が騒がしくなり、竿を置いて見に行くと、なんと2メートル近くはありそうなアオザメが水面で暴れております。取り込もうと伸ばした網に、鋭い歯を剥き出しにして襲いかかる姿は、さながら映画〝ジョーズ〟のようで迫力満点。惜しくも、すんでのところでハリスを切られてしまいましたが、迫力のシーンが見られただけでも、船に乗った価値があると思える出来事でした。

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

楽しい時間は過ぎるのも早いもので、夢中で釣るうちに「これでラストね〜」と船頭さんのアナウンス。後ろ髪を引かれつつ沖上がりとなり、お楽しみの反省会&宴会…の前に全員の釣果とともに記念撮影。というのも、今回の釣りは、みんなで1つの大きなバケツに釣果を集めて宴会の食材にするチームプレーなんですな。よって船上は終始和やか、和気あいあいな1日を楽しめました。


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帰り際に、「これ美味しいからお土産に持って行きな」といただいたのが、シキシマハナダイ。これは有り難いと、宴会でホロ酔いにて帰宅後、再度の1人晩酌といきましょう。


シキシマハナダイ (C)週刊実話Web

焼き魚に加えて、蛍光ピンクにオレンジという、せっかくの美しい体色を活かすべく姿造りにしたところ、これがどちらも驚くほどに美味。旨味が濃くクセのない白身は、脂乗りのよい時期のイサキに似ている、というか勝るとも劣らぬ旨さです。


シキシマハナダイの焼き魚と姿造り (C)週刊実話Web

「こんなに旨いなら、もし、またお誘いいただくことがあればシキシマハナダイ狙いだな…」などと思いつつ、再びホロ酔い。和やかな船釣りと旨い肴で、最高の1日となったのでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。