(画像)Eduard Borja / Shutterstock.com
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「プーチン=ヒトラー」をNG扱い…ウクライナ侵攻で判明した“デマ”の正体

ウクライナへの侵攻で国際的非難が殺到、国内外でナチスのヒトラーになぞらえる風刺も相次いだロシアのプーチン大統領。だがこの直前、日本の一部では「ヒトラーに例えるのは国際的にNG」との〝珍説〟が叫ばれていた。


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発端はウクライナ侵攻の約1カ月前にさかのぼる。菅直人元首相はツイッターにて、日本維新の会元代表・橋下徹氏を《主張は別として弁舌の巧みさでは第一次大戦後の混乱するドイツで政権を取った当時のヒットラーを思い起こす》と分析。すると、維新側はこれに激怒し、松井一郎代表・吉村洋文副代表は菅氏属する立憲民主党へ正式に抗議。橋下氏もツイッターで《ヒットラーへ重ね合わす批判は国際的には御法度》と反論した。


「当時のニュース番組も、概ね維新に同情的。〝カトパン〟こと加藤綾子は夕方の『Live News イット!』(フジテレビ系)で、『ヒトラーやナチスになぞらえるというのは〝どんな例えであっても〟使ってはいけないものだと思います』『元総理という人が国際的な視点、価値観というものを考えずに発言しているとしたら、これは驚いてしまいますよね』などと、菅氏を批判しました」(政治アナリスト)


この論調は、夜のニュースでも同様だった。


「『FNN Live News α』(同系)でも、コメンテーターの津田塾大学教授・萱野稔人氏が、『フランスやドイツではヘイトスピーチを法律で禁じていて、その基準に従えば、菅直人元総理のヒトラー発言は、処罰の対象となる可能性が非常に高いです』と指摘。『ヒトラーの名前を持ち出して他人を批判することは、他人への憎悪を容易に煽ることになります』など、菅氏の発言が〝国際的にNG〟だと同様の見解を示していました」(同・アナリスト)

世界中のメディアや市民から続出中

しかし、これらの意見は、わずか1カ月で間違いだと判明することになる。

「よほどニュースに疎くなければ知っていると思いますが、武力侵攻したプーチン大統領をヒトラーやナチスになぞらえる言論は、世界中のメディアや市民から続出中。開戦直後の2月24日、コロンビア大学のロシア研究者スティーブン・セスタノビッチ氏は、米週刊誌『ニューヨーカー』でヒトラーとプーチン大統領を『比較せざるを得ない』と指摘しています。ウクライナのゼレンスキー大統領も、5月8日に公表した映像で、ロシアがナチスの残虐行為を再現していると演説。他にも、こうした揶揄は挙げればキリがありません」(フリージャーナリスト)


市民の間では、さらにストレートな表現も用いられている。


「3月にはポーランド・ポズナンの広場沿いの建物に、横分け・チョビヒゲでヒトラー風にしたプーチン大統領の巨大垂れ幕が掲げられている。スペインで起きた反戦デモも、 ヒトラーとプーチン大統領の顔を半分ずつ並べて『歴史を繰り返すな』と書いたプラカードが使われ、『文春オンライン』も《プーチン大統領は現代版ヒトラー》なる研究記事を掲載しています」(同・ジャーナリスト)


一体、〝国際的にNG〟との説はどこから来たのだろうか。