島田洋七 (C)週刊実話Web
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新幹線で遭遇した芸能人との挨拶~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

前回、神田正輝さんに偶然、焼き鳥屋で会った話をしました。東京へはよく行ってましたけど、地元意識がないから芸能人と出くわすなんて思いもしないんです。あとは新幹線で挨拶されても、相手の名前と顔が一致しないことが多々ありますね。


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コロナ禍前までは講演会の仕事で全国を飛び回っていました。よく新幹線を利用していたんです。いつものように講演会へ向かおうと、新幹線に乗っていると女性2人組が近づいて来て「はじめまして、日本エレキテル連合です」と挨拶された。当時ブレークしていた彼女らはテレビに出る時は、コント用のメイクをしていたでしょ。当たり前だけど、新幹線ではメイクをしていないし、俺は名前すら知らなかった。「なんや、そのエレキなんとかって?」と聞くと、「芸人の後輩です」「芸人か。もう一度名前を教えて」「日本エレキテル連合です」「電気屋か何かか」とツッコミました。


またある時、名古屋駅から20代くらいの若い男の子3人がグリーン車に乗って来た。グリーン車は、年配の人が多いから目立つんですよ。珍しいなと思って見ていたら、目が合い会釈されたんです。「君ら若いのにグリーン車なんて金持ちやな」と話しかけると「おはようございます! SMAPです」。なんと、あのSMAPだったんですよ。SMAPの誰かはちょっと思い出せないんですけどね。彼らがもっと若い頃、香取慎吾君とテレビ東京の番組の企画で漫才をしたことがあったのにね。

「喫茶店のモーニングなら知ってるけどな」

若い女優さんがマネジャーに連れられて挨拶に来ることもあるけど、俺はドラマを見る習慣がないから誰だかチンプンカンプン。ドラマは一度見たら最後まで見ないと気になって仕方ない。それに毎週同じ時間に見続けるのも難しいじゃないですか。でも、見知らぬ女優さんに挨拶されると大抵は「いつも見ています」と返します。それが一番無難なんですよ。

一度、『モーニング娘。』が大ブレークした頃に何人かがマネジャーと挨拶に来た。俺はさっぱり分からなかったけど、「頑張ってください」とだけ言いました。彼女らが去って俺のマネジャーに「モーニング娘。って知ってるか?」と振ると「知りません」。「喫茶店のモーニングなら知ってるけどな」と話したものです。


数年後、博多座と中日劇場で〝がばいばあちゃん〟の舞台をやることになった。ばあちゃん役が俺で、俺の役は小学生の子役、母ちゃん役は高橋惠子さん。東京で1カ月稽古を積むことになったけど、俺は講演会が忙しくて4回しか出られなかったんですよ。


顔合わせの時、叔母役の『モーニング娘。』の中澤裕子が挨拶に来て「洋七さん、覚えてますか?」「何を?」「新幹線で挨拶したことあります」「ごめんな。あの時はグループ名すら知らんかったんよ。でも、今は歌も分かるよ」と『恋愛レボリューション21』のサビを歌うと、「師匠はそこしか知らないんでしょ」とツッコまれましたわ。その中澤と泣くシーンを5~6分演じないといけなくて恥ずかしかったですね。


やはり、挨拶はしっかりしておかないといけませんね。いつ仕事で一緒になるか分かりませんから。
島田洋七 1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。