コロナ禍を背景に第3次サウナブームが加速する中、ロシアのウクライナ侵攻による燃料費高騰で、銭湯の存続が危ぶまれている。
名作古典落語『湯屋番』に登場するように、銭湯(一般公衆浴場)は江戸時代から庶民の触れ合いの場として栄えてきた。1968年には全国で1万7999軒とピークを迎えた。その後は年々減少傾向が続き、2022年は1865軒。実にピーク時の約10分の1まで減ったことになる。
「高度経済成長で核家族化が進み、各家庭で浴室を持つようになった。風呂を備え付けた団地や住宅が爆発的に増え客足も激減。また、経営者の高齢化が進んで、廃業や転業が続出した。その一方、大型の健康ランドやスーパー銭湯の出現で、銭湯も見直されたのですが…」(カルチャーライター)
値上げで確実に客足も鈍る…
光明が見えつつあったところにコロナ禍が直撃。新型コロナ感染拡大による〝3密回避〟で、入浴客は約2割落ち込んだという。
「昨年はコロナ関連の資金繰り支援策の効果で、銭湯の倒産は1軒だけだったのですが、それはもう期待できそうにない。輪をかけて今年はロシアのウクライナ侵攻や円安の影響で、世界的に燃料の重油やガスなどが高騰し続けている。銭湯の経営を圧迫するのは目に見えています」(同・ライター)
銭湯の主な収入源は入浴料だ。スーパー銭湯などは各事業者によって料金を自由に決められるが、一般公衆浴場は各都道府県が金額の上限を決めている。ちなみに、入浴料の最高は大阪府と神奈川県の490円、東京は480円。最低は佐賀県の280円となっている。
「燃料費は昨年から1.5倍以上に跳ね上がっている。入浴料を上げなければ毎日赤字ですが、たとえ、値上げが決まっても銭湯を憩いの場にしている高齢者には負担になって、客足が鈍るのは確実。痛し痒しなんです」(東京・江戸川区内の銭湯経営者)
日本独自文化の銭湯支援策が急務だ。
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