低価格のジェネリック医薬品(後発医薬品)が『小林化工』と『日医工』の不祥事がきっかけで、複数のメーカーに生産遅延が起き、医療現場が混乱している。
ジェネリック医薬品とは、厚生労働省の許可を得て製造販売される新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を含む医薬品のこと。新薬よりも低価格で患者負担が軽減される。ジェネリックの使用割合は、昨年9月の調査で79%にも達している。
2020年12月に小林化工が、製造した水虫などの真菌症の治療薬に睡眠導入剤の成分が混入して、全国各地で200人以上の健康被害と死者2人を出していたことが明らかになった。
「国が承認していない工程で、製造などの不正を長年にわたって組織的に隠蔽し続けてきた悪質な実態が発覚した。行政処分を受けた小林化工は、製造工場をジェネリック大手の『サワイグループホールディングス』に譲渡して、医薬品の製造・販売から撤退したんです」(医療ライター)
3000品目以上も入荷不足に…
これで一件落着かと思われたが、その後、最大手の日医工が20年から21年にかけて承認書に記載のない手順で製造を行っていたとして業務停止命令処分を受けた。さらに、日本ジェネリック製薬協会の呼びかけで各メーカーが自主点検したところ、複数のメーカーから問題が見つかり、出荷停止や生産調整で製造が大幅に遅れ、昨年夏頃から全国的に薬の供給不足が続く事態に陥ったのだ。昨年12月の段階で入荷不足になっているのは、3000品目以上にも上る。
「5月1日時点で入手困難になっているのは、アレルギー、高血圧、てんかん、うつ病、気管支炎、リウマチ、胃炎、心不全、かぜ薬、解熱鎮痛剤など多岐にわたっています」(調剤薬局薬剤師)
厚労省は、ジェネリック大手の沢井製薬と東和薬品の2社が生産体制を大規模増強する計画を発表したが、増設工事や国の承認を得る手続きなどで約2年を要するという。
「新薬だと経済負担が大きい。その間、国が新薬とジェネリックの差額分の補償をしてほしい」(某医師)
病気は待ってくれない。
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