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『ブルーギル』滋賀県/琵琶湖彦根産~日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

滋賀県は琵琶湖畔にあります、雄琴温泉でリフレッシュ&スプラッシュを楽しんだ前回。一応の目的は果たせたものの、せっかくの琵琶湖ですから、翌日はもうちょっと観光と釣りを楽しむべく、雄琴からグルッと回って対岸の湖東に行ってみることにします。

湖西線で山科まで行き、琵琶湖線に乗り換えて対岸の彦根まで、トータル1時間20分ほどの列車旅です。それにしても、湖を約半周するのに電車で1時間以上かかるとは、あらためて琵琶湖の広さを感じます。彦根駅からは彦根山頂にそびえる国宝〝彦根城〟を眺めながら、歩くことおよそ20分で彦根港に到着。琵琶湖のなかでも比較的規模の大きい漁港とあって、堤防は多くの釣り人で賑わっております。リフレッシュの釣りなので、混雑に紛れて竿を出すというのも、いまひとつ気が進みませんし、散歩がてらに少し移動してみることにしましょう。

昭和の雰囲気を色濃く残す遊覧船の乗船場を通りすぎ、歴史を感じさせる細い路地を抜けると、これまたなんとも昔ながらの長閑な舟溜まりに行き当たりました。いかにも〝ニッポンの水郷の郷〟といった風情に、「ここでのんびり竿を出してみるか…」と安物のサビキ竿を取り出し、簡単な玉ウキ仕掛けをセット。魚が潜んでいそうな小舟の影に、エサのミミズを付けた仕掛けをソッと入れてみます。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

欲を言えばブラックバスを…

ポワンポワン。すぐに玉ウキに反応が出て、軽く竿を煽るとブルルッと登場したのは小さなブルーギルです。外来魚でもあり、ましてやブラックバスのように大きくなることもない魚ですから、なかなか本命対象魚にはなり得ないブルーギル。でもいいんです。観光がてらにチョイと竿を出し、簡単な仕掛けでも、すぐに釣れて楽しませてくれるのですから、ぜいたくは言えません。

ブルーギル
ブルーギル (C)週刊実話Web

周りを見渡すと、やはりここでもブラックバス狙いのルアーマンがチラホラ。皆さん〝ビシッ〟と決まったファッションで、ルアーロッドを操っております。対して、作業着に安物のサビキ竿と玉ウキでブルーギルを釣って喜ぶオッサンが1人。浮きますな。

ブラックバスの釣り場として知名度のある彦根港ゆえに魚もスレているのか、周囲のルアーマンで魚を釣り上げた様子はありません。対して、子供でも釣れるような小さなブルーギルの食いは活発で、仕掛けを入れればポワンからのブルルッですぐに釣れます。こうなると調子に乗って欲が出るのがワタクシ。もうちょっと型のよいヤツ、もっと欲を言えばブラックバスなんて釣れないかしら? などと分不相応な考えが頭をもたげます。なるべく大きめのミミズをハリに付け、橋の下の影になった岸壁に繋がれた小舟の周りを攻めてみることにします。

小舟と岸壁との間の、いかにも魚が潜んでいそうな隙間にポチャンと仕掛けを投入。と、すぐにウキがスーッ! と小舟の下に引き込まれました。今までのポワンポワンとは違うアタリに胸を高鳴らせ、竿を煽るとキューンッと鋭い手応えで釣れたのは…ブルーギル。一瞬、ブラックバスを期待したのですが、そうは問屋が卸さないようでして。とはいえ、今までのロリギルと違い、まずまずの大きさです。暗がりの、さらに小舟の影というポイントは、やはり悪くないのかもしれません。

もともと食用なので美味!

その後も橋下の暗がりを攻めると、同じくらいの大きさのブルーギルがよいテンポで釣れ、元気な手応えを堪能。なんだか(海の)漁港の舟溜まりでメバルでも釣っているみたいで、これはこれで楽しいものです。

結局、ブラックバスの姿を見ることは叶いませんでしたが、ひとしきりブルーギルの元気な手応えが楽しめて、それなりに満足。あまり釣りすぎても食べきれないので、適当なところで竿を畳むことにしました。

現在でこそ特定外来生物に指定され、駆除対象になるブルーギルも、1960年に日本に持ち込まれた際には食用として、あるいは淡水真珠の養殖のため、そして釣りの対象魚として等々、さまざまなプラス要因を持ち合わせた魚でした。当時は今のように娯楽が溢れてもおりませんし、飽食の時代でもありませんから、この魚もある意味、時代の流れに翻弄された魚という見方もできるのではないでしょうか。

ブルーギルのフライ
ブルーギルのフライ (C)週刊実話Web

そんなブルーギルをフライにして一杯やります。もともとが食用としての側面も持って移入された魚でもあるため、当然美味。揚げたてホクホクのフライは、冷えたビールとの相性も抜群で「これならもっと釣ってもよかったな…」などと思いつつ、充実の1日となったのでありました。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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