
東京では思わぬところで芸能人に会うことがありますね。もう5年くらい前になるかな。友達と港区の飯倉を歩いていたんです。友達が「焼き鳥が食べたい」と言うから、店を探していると昭和の雰囲気漂うカウンターだけの焼き鳥屋を見つけた。おしゃれなワインを出すような高級な焼き鳥店は好きじゃないんですよ。初めての店だったけど入ってみたんです。
カウンター席に座り、焼き鳥をつまみながら酒を飲んで、友達をいつものように笑わせていた。隣には男3人だけのお客さん。でも、俺がオチを言う度に笑うんです。俺の話で笑っていると思ったから、「君ら笑いすぎやで」とツッコミましたよ。そうしたらまた笑うんですよ。「俺はプロやからな。笑ってもいいけど100円ずつ払ってな」とジョークを飛ばすとまたも爆笑。
3人組をよくよく見ると、1人がものすごく二枚目だったんです。その彼に向かって「君は男前やな」と話しかけると「そんなことないです」と謙遜する。「いや、男前やんか。神田正輝に似てるな」。もう一度振ると、その彼が立ち上がり、「神田正輝です!」。
俺の中で俳優さんはおしゃれなレストランでワインでも傾けているイメージがある。まさか庶民的な焼き鳥屋で会うなんて想像していなかったから驚きましたよ。すぐさま「ごめんなさい。ほんまもんやんか。俺はお上りさんみたいやな」とお詫びしました。
返礼に裕次郎さんの顔入り焼酎
それからまたそれぞれのグループで飲んでいたんですけど、帰り際に失礼なことをしたお詫びにと「佐賀の海苔を送るので事務所の住所を教えて」と話しかけ、少しだけ会話したんです。なんでも神田さんは大学までスキーが得意で、幼い頃から役者に憧れていたわけではなかったらしいんです。たまたま知り合いに石原プロの方がいて、試しに出演して役者になったと。
神田さんから「洋七さんは幼い頃から芸人さんに憧れていたんですか?」と聞かれたけど、俺も家出同然で佐賀を飛び出して、たまたま漫才を見て漫才師になったから似たような境遇なんですよ。そのことを打ち明けると「幼い頃から憧れてなれるものでもないんだろうね」と話が合いましたね。最後に「俺みたいに間違えて誰か芸能人に似てると言われたことありますか?」と尋ねると「ないです(笑)」と即答でしたね。
嫁さんに話すと「失礼なことをしたな。神田正輝さんに似てるなんてよう言うたな」って呆れられましたね。そして、海苔を送ると、後日、神田さんから返礼に焼酎が届いた。石原裕次郎さんの顔が印刷されたものです。すぐに飲むのがもったいないから、部屋に飾っていたんです。石原裕次郎さんに常に見られているような気になるんですよ。それに『西部警察』で一度共演して2時間話したことがあったから余計にね。
結局、1年くらい飾っていました。裕次郎さんが「飲んでいいよ」と話しかけてくれたような気がしてからチビチビと飲みました。改めて、神田さんと焼き鳥屋で会った時のことを思い返すと、一般のおっさんが口にするようなことを敬語も使わずに、やや上から目線で「神田正輝にそっくりやんか」とよく言ったなと、今でも冷や汗が出ますね。
島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
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