日本を代表する俳優の故・森繁久彌さんが開腹手術(1987年)を受けたことでも知られる、海産魚介類に寄生するアニサキスの食中毒が多発している。
「近年では札幌市で年間10件以上、アニサキスによる事例が報告されていました。今年に入ってからは石川県、福井県、埼玉県…と広がりを見せている。主に握り寿司を食べた人が食中毒にかかるケースが多いですね」(食品アナリスト)
石川県では、今年3月17日までの1年間で食中毒発生件数は18件。そのうちアニサキスによる事例は11件で、今年に入ってからは7件を数えている。
「直近では4月27日に石川県内の飲食店で魚介類を食べた50代女性がアニサキスにやられました。17日には30代男性が寿司店で購入したヤリイカ、ヒラメなど9種類を食べて9時間後に症状が出て緊急入院した。福井県では鮮魚店からイワシの刺し身を買った80代男性、埼玉県でもスーパーでアジやイワシを購入した30代男性が腹痛や吐き気などの症状が出たので検査したところ、体内からアニサキスが発見されました」(食品衛生管理士)
8時間以内に激しい腹痛が…
アニサキスは体長2~3センチの半透明白色の寄生虫で、生きたまま人の胃や腸壁に侵入すると急性胃腸炎を引き起こす。寄生している主な魚介類はサバ、サンマ、スルメイカ、イワシ、アジ、ニシン、ホッケ、タラ、サケ、ブリ、カツオなどだ。
「症状が出るのは食べてから1~36時間後で、大半は8時間以内に激しい腹痛やおう吐、じんましんなどを発症します」(都内の内科医)
食べる際の予防法は、①60℃で1分間以上の加熱、②マイナス20℃以下で24時間以上の冷凍、③魚介類を処理する際は新鮮なうちに速やかに内臓を除去――の3点。
「この3つを守れば、アニサキス中毒は防げます」(前出の食品衛生管理士)
本誌編集部周辺でも、50代女性編集者、40代男性ライターがアニサキスの疑いによる、みぞおちの腹痛で七転八倒している。女性編集者は大盛り海鮮丼、男性ライターはサバの刺身が原因とみられる。ちなみに、森繁さんはバッテラだった。
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