5月11日に急逝したお笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」のメンバー・上島竜兵さん(享年61)をめぐるテレビの情報番組などの報道の仕方に〝疑問の声〟が相次いでいる。
《朝イチで本当に悲しいニュース。厚労省のガイドライン、メディア関係者のみなさまは再度目を通して守ってほしい。最新版が5月6日に出てます》
《ガイドライン守ってる報道なんて見たことないけど罰則とかないんかな?》
《文末に自殺予防センターの電話番号を記載すればなんでも報道していいわけじゃない、というのも追加でお願いします。あの文末を見るとしんどくなる》
《自殺を肯定するような個々の発言も規制すべき。これも誘発の可能性に繋がる》
《わざわざ太田プロの前から中継する日テレに、ガイドラインなんか守れるわけないよな》
《めざまし8さん、その報道の仕方は違うだろ。自宅まで行く必要あるの?? ガイドラインめっちゃ無視してるし》
ネットユーザーが指摘している「ガイドライン」とは、『WHO 自殺報道ガイドライン』のこと。そこには、自殺関連報道で「やるべきでないこと」として、「報道を過度に繰り返さないこと」「自殺に用いた手段について明確に表現しないこと」「自殺が発生した現場や場所の詳細を伝えないこと」などが挙げられている。
岡田有希子さんの“教訓”
上島さんの件は、5月3日の渡辺裕之さんの訃報を受け、6日に厚生労働省が報道機関に対して「ガイドライン」の遵守を改めて要請していた矢先のことだった。
【報道関係者様へのお願い】
各報道機関に対し、WHO 自殺報道ガイドラインに準じた報道を実施するよう要請を行いました。
自殺やその可能性に触れる報道は、報じ方によっては自殺を誘発する可能性があるため、本ガイドラインを踏まえた報道を、引き続きお願いします。https://t.co/Vz8GBdxcln— 厚生労働省 (@MHLWitter) May 6, 2022
情報番組のスタッフが言う。
「渡辺さんや上島さんのときもそうでしたが、有名な方が急逝なさったという一報以外の情報がない場合、関係者の電話が繋がらないことも多く、公式な発表を求めて事務所前で張り込むか、出入りする関係者から少しでも情報を取ろうとしてご自宅前で待つしか方法がないんです。かつて、センセーショナルな報道で岡田有希子さんファンの〝後追い〟が続出したことも、もちろん教訓としていますし、我々の報道の仕方で、いま追い詰められている人が模倣する危険性が高いことも分かっています。しかし、一刻も早く正しい情報をお伝えするというのも我々の仕事ですから、いろいろと判断が難しいというのが正直なところです」
今は、有名人の自殺報道の際には、必ず相談窓口なども紹介するように徹底されている。
「ネットに、それを見ただけでつらくなるという意見があるのは重いですね…。芸能人の方であれば、我々は一緒に仕事をしていたケースも多く、本当はもっともっと故人の方の追悼の特集をしたいという思いがあっても、以前に比べれば繰り返し報じることも控えています。もちろん、批判のご意見は真摯に受け止め、今後もガイドラインを重視した報道を心がけるつもりです」(同・スタッフ)
どんなにメディアを規制しても、一般人によるネットの書き込みやSNS、動画配信などは野放しだ。厚労省は、それより本格的な自殺の防止策に力を入れるべきではないか。