
渋野日向子「笑顔で回れたことじゃないですかね」~心に響くトップアスリートの肉声『日本スポーツ名言録』――第2回
2019年の『AIG全英女子オープン』では、最終18番ホールで5メートルのバーディーパットを決め、パターを持つ左手を高く掲げた渋野日向子。
その姿を深夜のテレビ放送で見て「笑顔の奇跡」を感じたファンもきっと多いだろう。
最近の日本人女子プロゴルファーは活躍のピークが短い。そんなふうに感じる人も多いのではないか。
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かつては日本人初となるメジャー優勝(1977年の全米女子プロ)を果たした樋口久子、日本ツアーで44勝、LPGA(全米女子プロゴルフ協会)ツアーでも17勝を挙げた岡本綾子など、ベテラン強豪の存在感が大きかった。
しかし、近年は6年連続(2000~05年)で賞金女王に輝いた不動裕理や、日米を股にかけて活躍した宮里藍の活躍が目立ったぐらい。不動の時代が過ぎてから、賞金女王を複数回獲得した日本人選手は鈴木愛のみ(17、19年)。大山志保、上田桃子、古閑美保、横峯さくら、森田理香子は、いずれも単年女王で終わっている。
東京五輪銀メダルの稲見萌寧も絶対王者といった感はなく、ツアー優勝者は毎週顔ぶれが異なっているようなあんばいだ。好意的に見れば「選手の新陳代謝が活発」「群雄割拠の時代」ということにもなるが、逆に「安定して勝ち続ける選手がいない」とも言えよう。
日本人としては42年ぶりメジャー制覇
これには、いくつかの理由が考えられる。宮里の活躍以降、女子ゴルフも幼少時から英才教育を施された選手が増えたが、その結果、女性に顕著な年齢による体の変化のために、子どもの頃に身につけた技術が通用しなくなるケースが多々あるという。
そうするとアマチュア時代の勢いのままに、ある程度の成績を残すことができても、どこかで壁に突き当たったときに問題が生じる。新たなプレースタイルを習得しようにも、なまじ結果を残してきただけに、なかなかモチベーションを上げづらいのだ。
また、結婚や出産による生活の変化も大きく影響する。ゴルフ一筋で育ってきたため、恋愛経験に乏しく、試合で結果を出して周囲からちやほやされるうち、色恋に溺れて成績を落としてしまう選手も少なくないと聞く。
19年に日本人としては樋口以来、42年ぶりとなるメジャー制覇を『AIG全英女子オープン』で果たし、一躍時の人となった渋野日向子もまた、今のところは周囲が期待するほどの成績を残していない。
全英優勝後にはキャラクターの魅力もあって、メディアから引っ張りだことなり、ゴルフに集中できなかった部分もあっただろう。しかし、その後も新型コロナの流行から調整不足に陥り、2020年度シーズンは優勝なし。上位争いに加わることもできないほど不振を極めた。
それでも後半は復調気配を見せて、12月開催の『全米女子オープン』では3日目で単独首位に立つが、最終日にスコアを落として4位に終わり、LPGAメジャー2勝目とアメリカ本土初優勝を逸している。
プロテストに合格後、とんとん拍子の活躍ぶりとその後の不振から、渋野は他の〝一発屋的な女子選手〟と同様に、今後は下降線をたどるのではないか…。そんな不安もささやかれていたが、渋野には「笑顔」という武器があった。
笑顔はプロ意識の高さから
「笑顔が大事」という心持ちも、昨今は「科学的ではない」と軽視されがちだが、渋野にとっては実体験に基づいたことでもある。ツアー初優勝後、パターが決まらずにいら立ちを見せるなど、不安定な状態が続いた渋野は、そこで「調子がよくないときに笑うのは難しいけど忘れてはいけない」と心を入れ替えた。そのことによって、成績が再度上昇したという。
そうして迎えた全英の大舞台で、常に笑顔を絶やさない渋野は現地メディアや観衆の心をつかみ、「スマイル・シンデレラ」とも称された。
試合後のインタビューで勝因を問われ、「笑顔で回れたことじゃないですかね」と答えたのは、まぎれもなく渋野の本心だったろう。
渋野にとって笑顔は、心を落ち着かせる実戦上の効能があることはもちろん、同時に「テレビで見ている人も、笑顔になれるようなプロになりたい」という願望が込められている。
つまり、プロ意識の高さからの笑顔というわけだ。それに加えて、今シーズンから米ツアーに本格参戦しているように、高い向上心も持っている。
今年4月の『アメリカ・ロッテ選手権』では直ドラ(フェアウェイ上からボールを打つ際、ティーアップしない状態でドライバーを使うこと)に挑戦する「攻めの姿勢」で、優勝こそ逃したものの、アメリカ本土の試合では自己最高の2位となった。
このチャレンジ精神と笑顔という最高の武器がある限り、渋野はまた大舞台での活躍を見せてくれるに違いない。
《文・脇本深八》
渋野日向子 PROFILE●1998年11月15日、岡山県出身。身長167センチ、体重62キロ。2018年のプロテストに二度目の挑戦で合格。19年の公式戦『ワールドレディスチャンピオンシップサロンパスカップ』で初優勝を遂げる。
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