蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~物価値上げに対応しつつ経済を回すには

春の大型連休が明けたけど、なんでもかんでも値上げラッシュ、先行き不安になって心の底から休暇を楽しめなかったという人も多いんじゃないかな。


帝国データバンクが国内の主な食品・飲料メーカー105社を対象に調査したところ、半分以上の54社が今年に入ってから値上げをしていて、その対象はおよそ6100品目。値上げ幅は平均で11%増になるそうだ。


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食料品に関しては、値上げ程度で済んでいるので、まだマシなほうかもしれない。コロナ禍のダメージや、ウクライナ-ロシア紛争の影響に加えて、ここ数年の異常気象などもあって、いま世界的に食料不足に陥っているという。今後は食べ物の奪い合いで、また戦争が起きそうな気配すらある。


物流も含めて、各国のバランスや歯車がおかしくなってしまって、いままでのようにはいかないということだろうね。


とはいえ、日本国内の景気も混乱している。


俺がやっている『蝶野ネットワーク119』というYouTubeチャンネルで、軽井沢の消防団の方たちと話をする機会があった。軽井沢はまだ観光が完全には戻ってなくて、バス会社を運営している人は「あと2年くらいは回復しないだろう」と言っていた。一方で忙しいのが建築関係だという。コロナを機に都心部から軽井沢に移住する人が増えていて、土地の値段も上がってきているそうだ。


これも、いままでの常識が通用しなくなっているということだよね。

ロスを減らして合理化に

都心部のテナントも、1階の路面店の賃料が高いというのが相場だったけど、いまや街に人が少ないから、必ずしも路面店である必要がなくなった。東京オリンピックを契機にオフィスビルの建設ラッシュが起こったけど、完成したらみんなリモートワークになってしまって入居する会社がない。

どれもコロナや戦争が原因ではあると思うけど、こうした突発的な事件を予測することは難しい。だからこそ大事なのは、その時々で柔軟に対応するということだろうね。


俺も最近はデパートでモノを買わなくなった。服や靴は6:4くらいでネット通販を利用している。店舗よりも少し安く買えるし、こちらも出歩かないので時間も移動費もかからない。便利でお得だから、すっかり慣れてしまったよ。


あと最近、銀行の口座を開いたんだけど、これもスマホ1台で済んだ。銀行でいえば通帳の有料化とか、ATMの手数料が高くなったことも「値上げ」の範疇で語られるけど、スマホを使ったネットバンキングなら無料で出来ることもたくさんある。要するに社会全体がもっとデジタルに移行すれば、経費も抑えることが出来るということだよね。


食料品の値上げも同じで、ロスを減らして、うまく合理化すれば乗り切れるんじゃないかな。そんなに難しいことじゃなくて、いままでの円高やデフレ経済で調子に乗ってた部分を正して、昔の感覚に戻せばいいだけ。省エネ対策やモノを大事にするという意識は、50代以上の日本人なら刷り込まれてきているはず。まさに、いま『週刊実話』を読んでくれてる世代のことだよ。


タフでしぶとい実話世代が、スマホを駆使して社会に対応していけば、値上げラッシュも乗り切れると思うよ。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。