何より衝撃的だった宮沢りえ(当時=18)の『Santa Fe』。
1991年1月に突如、発売された写真家・篠山紀信氏による樋口可南子(当時=33)の写真集『water fruit』によって事実上の〝アンダー解禁〟となると、空前の大ブームが巻き起こった。そして、同年11月の『Santa Fe』によって、そのブームは一気にピークを迎えることとなったのは、本誌読者諸兄なら、よくご存じのことだろう。
「当時のりえは、アイドル女優として人気絶頂。今の広瀬すずよりも、はるかに国民的人気がありましたから、大変な話題となりました。現在まで、その総売り上げは155万部とも165万部とも言われ、芸能人写真集の売り上げ部数としては今後、絶対に超えられることはないだろうといわれています」(出版関係者)
ヌード写真集ではあったものの、その〝アンダー〟が写り込んだカットはわずか。とはいえ、18歳の肉体の美しさは、神々しいばかりだった。
「無防備にさらされた肉体は、すでにしっかりと〝受け入れる準備〟が整い、芳醇なエロスを感じさせました。しかし、その表情は少女の顔と大人の顔が入り混じり、何ともアヤうい。見てはいけないものを見てしまったような背徳感を覚えさせながらも、最後までページをめくる手が止まらない、そんな見事な写真集でした。特に、一糸まとわぬ姿のりえが岩に腰をかけて撮られた1枚は、逆光に照らされ、輝きとともに浮かび上がる、まさにビーナスのような理想的なライン。そして素肌に溶け込むようなピンク色のトップは、美し過ぎました」(同・関係者)
篠山紀信氏にハッパをかけた“りえママ”
今も、りえの代表作の1つとして語られるこの『Santa Fe』。昨年10月に放送された『千鳥かまいたちアワー』(日本テレビ系)にゲスト出演した際も、同作が話題になった。
このとき、彼女は撮影の経緯について、こう話した。
「すごくモデルさんへの憧れがあって、ヌードに対しての抵抗感もそんなになかったんです。キレイだなと思っていて。(それでも)撮ってみない? って言われたとき、〝イヤ~〟ってなりましたね。撮ってみてイヤだったらやめればいい。(撮ってみたら)キレイかなと思って…」
まるで、最初から納得づくであったかのように話していたが、りえがバーのママ役として出演していた2015年放送の『ヨルタモリ』(フジテレビ系)に篠山氏がゲスト出演した際、写真集の舞台裏について、こう明かしている。
「りえはヌード撮影についてハッキリとは聞かされないまま撮影に入り、篠山氏も手探りしながら初日の撮影を終えたそうです。その夜、撮った写真をホテルの壁に張り出したところ、それを見た〝りえママ〟が、『こんなの撮りに来てるんじゃないのよ。もっと頑張んなさいよ』と篠山氏にハッパをかけた。りえも〝ヌードは美しいときに撮るべきだ〟というりえママの説得に、納得をしてヌード撮影に至ったとのことでした。仕掛け人は、完全に〝りえママ〟だったんです」(同)
同じ篠山氏が仕掛けた樋口の『water fruit』がなければ、この『Santa Fe』での宮沢の〝天使のアンダー〟もなかったわけだが、この『water fruit』には、こんな裏話がある。
当局にも“アート”と認められた!
「実は、当時も〝アンダーがNG〟という法律はなく、海外の写真家のアート作品だと、日本でもOKだった。そこで篠山氏は、〝要はアートならいいだろう〟ということで、全編モノクロ写真のアート作品として発売を強行した。これに週刊誌やテレビが飛びついて〝解禁〟と大騒ぎになり、大ブームとなったというのが真実。『water fruit』が、当局にもアートと認められたということでもあり、篠山氏の写真家としての名前と実力をあらためて示したとも言えるでしょう」(芸能記者)
だが、モノクロ写真でより黒々と際立っていた樋口のソレ、しなりの効いたスレンダーボディーを、世間は明らかにエロスとして楽しんだことは間違いない。
「樋口は、80年の初主演映画『戒厳令の夜』で初ヌードを披露。以降、『北斎漫画』(81年)、『卍』(83年)、『ベッドタイムアイズ』(87年)など、何度もヌードになりハードなシーンを見せていました。当時、雑誌のインタビューで、〝女優って仕事をしていること自体が、見せたいっていう自己顕示欲が強いわけでしょう。貪欲で自分が満足するまで続けたいという気が強いんです〟と発言していた。自立した新時代の女性、女性が性を謳歌する姿を描くのにピッタリの存在だったんです。そんな樋口だからこそ、世間は飛びついたわけです」(映画ライター)
両写真集が〝伝説的作品〟といわれるのは、こんな撮影秘話があったからこそだ。
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