ウクライナ侵攻という暴挙に出たロシアに対し、厳しい制裁を科す姿勢が支持され、各メディアが行う世論調査の内閣支持率では50%超と安定飛行を続ける岸田政権。
今夏の参院選で圧勝の声もチラホラ飛び交っているが、外交・経済政策専門家からは「岸田政権は3つの地雷を足元に抱えている。これをクリアしないと支持率急落、参院選大敗、政権崩壊」と予測する見方も出ている。
まず、3つの地雷は何か。
「1つはロシアが日本をNATO加盟国と同列で敵視し始めていることです」(外務省関係者)
ロシアは米英仏独など欧米30カ国が加盟するNATO(北大西洋条約機構)に脅威を抱いている。
「ロシアのプーチン大統領がウクライナ侵攻したのもNATOに起因する。ウクライナはNATOに加盟する意向を示していた。すると、ロシアはNATOの欧米軍事同盟国と直接、国境を接する事態になり、国家存亡の危機に陥る。なにがなんでもウクライナのNATO加盟を阻止するため、侵攻という暴挙に出たわけです」(同)
日本は欧米と足並みをそろえ『力による現状変更』に抗議、ロシアの軍事侵攻を強く非難するとともに、金融制裁や外交官追放などを科している。
「日本はNATO非加盟国。ロシアのLNG開発、原油開発のサハリン1、2から撤退していない。だが、この先は不透明。ブリンケン米国務長官が6月下旬にスペインで開催予定のNATO首脳会議に日本の参加を明言したからです。また、ロシアのウクライナ侵攻に『日本が素晴らしい形で立ち向かった』と激賞した。つまり、日本がアジアで唯一、NATO首脳会議に参加し、ロシア制裁の先頭に立つとみなしたわけです。松野官房長官は首脳会議出席を〝何も決まっていない〟と慌てて否定したが、米国はアジアでロシア制裁に慎重な国が多いことに苛立っている。他国の追随を促すため、日本がロシア批判の先頭に立っている点をことさら強調したのです」(全国紙外信部記者)
止まらない円安がコロナ打撃に猛追
松野官房長官がブリンケン発言の火消しに躍起になるのも理解できる。
「日本がNATOの旗振り役を担えば、日本はロシアにとって真の敵対国となる。ロシアはそれでなくても欧米の尻馬に乗って金融制裁する日本が頭にきている。そのためロシア下院副議長が『北海道の全権はロシアにある』などと挑発、さらには北方4島でミサイル演習するなど対日本への強硬姿勢を見せている。NATO首脳会議に参加すれば、日本もウクライナと同列にみなされ、北海道侵攻危機が一気に高まります」
防衛省関係者が続ける。
「ブリンケン発言の真意は、欧州並みの軍事支援をすべきと日本の〝参戦〟を要請している。6月のNATO首脳会議次第では、日本は戦争のド真ん中に巻き込まれる恐れがある」
岸田政権2つ目の地雷は円安だ。
「米連邦準備制度理事会は歴史的なインフレ物価高を抑制するため、0.5%の利上げを決めた。日米の金利差が拡大し、円売り・ドル買いの流れで円安が強まっている。1年前は1ドル108円だったのが、5月は1ドル130円前後の円安だ。円安になればなるほど、輸入品が軒並み高くなる。当然、ガソリン、食料品など物価高が進む」(大手シンクタンク研究員)
1月の貿易赤字は2兆円を突破した。日本の富は海外へ流出の一途だ。
「金融関係者の試算だと、1ドル130円の水準が続けば、平均的な家庭で負担が年間6万~7万円増える。1ドル150円なら10万円以上となる。給与は据え置きだから、まさに家計は火の車となる。どの家庭も節約で旅行やレジャー、外食を控える。コロナ禍で打撃をモロに被った旅行業界、外食産業などは軒並み倒産ラッシュとなり、岸田政権倒閣の動きが一気に強まってきますよ」(同)
この電力で今年の猛暑をしのげるか…
3つ目の地雷は電力だ。今年3月、経産省は来年1~2月の東京電力管内の電力需給について、安定供給に最低限必要とされる電力供給予備率の3%を下回る0.1~1%という厳しい見通しを示した。
「単なるこけおどしでないことは、3月に発生した福島県沖地震で複数の火力発電所が停止。国が初の電力需給逼迫警報を出し、異例の節電を呼びかけたことでも明らか。それが来年冬は頻繁に起きかねないというのだから経済界は真っ青です」(メーカー関係者)
2011年の福島原発事故の影響で全国33基の原子炉のうち大半が停止している。その穴埋めとして期待された太陽光発電は3月の逼迫警報でもハッキリしたように、天候次第というお粗末さ。火力発電もストップしたなら日本の電力事情は北朝鮮並みのブラックアウトに陥るわけだ。
「問題は今夏だ。今年は10年に一度の猛暑で冷房のフル稼働が予測され、電力不足が囁かれています」(同)
岸田首相はゴールデンウイーク期間中、外遊先のロンドンで講演し、海外投資家に向け「岸田に投資を」と呼びかけた。しかし、足元の3つの地雷を除去しないと、投資どころか〝自爆〟で政権崩壊しかねない。
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