去る4月28日、ロシアの侵攻によるウクライナ避難民が連れてくる犬について、「日本獣医師会」が支援する方針を発表した。
「通常、海外からやって来た犬や猫などは、狂犬病ワクチンを2回接種したことを示す政府の証明書が必要で、証明書がない場合、180日間は動物検疫所で隔離。その場合にかかる管理費を飼い主に負担させますが、今回は〝戦火を逃れてきた〟という特別な事情があるため、日本の動物検疫所の検査で抗体が一定量確認されるなどの条件付きで、この規制を特例として緩和しています」(情報番組のスタッフ)
このため、獣医師会は避難先での1日2回の健康観察や週1回の国への報告などについて、獣医師を無償で派遣し、支援する方針を示し、寄付金も集めてエサ代などに充てる方針を決定したのだ。
日本は、発症時の致死率が100%とされる「狂犬病」を1957年に撲滅した世界でも数少ない〝清浄国〟であるため、この特例措置に慎重な意見も出ていた。
「弁護士の橋下徹氏も、ツイッターで『狂犬病を甘く見過ぎ』と指摘。人道配慮ということで判断を誤る恐れがあるとして、『ここはしっかりと犬の隔離。そのためにお金がかかるというなら、お金の面をサポートしてあげればいいだけ』と提案しています」(同・スタッフ)
“ウクライナのハチ公”
ウクライナでは、飼い主が突然、徴兵されたり、殺害されたりして取り残されたペットたちの問題も深刻化している。
日本でも、ウクライナの首都キーウ(キエフ)西方約50キロにあるマカリウで、ロシア軍にレイプされた上に惨殺された飼い主の女性を待ち続ける「リニ」という9歳のメスの秋田犬が〝ウクライナのハチ公〟として話題になった。
「飼い主の知人が保護しようとしたそうですが、リニは家の前を離れようとせず、約1カ月間にわたって飼い主を待っていたんです。その間、近所の住人たちがエサを与え、ようやく新しい飼い主に引き取られました。この新しい家にはオスの秋田犬もいるそうで、今は2頭で仲良く暮らしているそうです」(同)
Good news! Akita Reeny from Makarov has found a new home and her people. Her owner's name is Nadezhda. The family knows how to take care of this breed, as they already have an Akita boy and they became friends with Reeny ❤️ pic.twitter.com/XXOWB3QOFs
— Anton Gerashchenko (@Gerashchenko_en) April 13, 2022
現地の獣医師たちも、こうしたペットの保護活動を「防弾チョッキ」を着用しながら続けているという。
東日本大震災のときも、原発事故の避難区域などに取り残されたペットたちの問題がクローズアップされた。こうした動物たちを1匹でも多く救ってあげたいという気持ちは世界共通だろうが、問題も山積しているのが現状だ。
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