(画像)Ollyy/shutterstock
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大リーグ&プロ野球“賭け合法化”で7兆円市場の試算も!波及効果はtotoの10倍以上?

メジャーリーグ(MLB)公式サイトが、1904年にサイ・ヤングが達成した最長無安打24イニングの大リーグ記録に挑戦した〝令和の怪物〟ことロッテ・佐々木朗希投手のテレビ観戦を呼び掛けるなど、日本のプロ野球の人気が急激に高まっている。


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その背景には、アメリカで「スポーツベッティング」が2018年から合法化されたことが挙げられる。インターネットで試合観戦しながら賭けを楽しむ人が急拡大しているのだ。


「この流れに危機感を募らせているのが、日本政府」


こう話すのは、自民党衆院議員の政策秘書。


「日本でもコロナ禍の巣ごもり需要で、競馬、競輪、ボートレースなどをインターネットで視聴しながらスマホで賭ける生活様式が定着しつつあります。現在、国内でプロ野球やメジャーリーグの販売はありませんが、アメリカのスポーツベッティングサイトでは賭けの対象になっていて、クレジットカードで購入、払い戻しができるため、日本からの利用者も増えているのです。通信環境の高度化や高速化が進んだ今だからこそできる新種の賭けですが、国が法的に手数料を徴収する方策がありません。早急に法整備が必要です」


日本から海外のブックメーカーを通じて海外サッカーやMLB、NBA、F-1の賭けに流れる金額は年間で約1兆円とみられるが、全容さえつかめず、払戻金にかかる課税も困難。それなら禁止するのではなく、合法化に転じた方がメリットが大きいという流れになってきているのだ。


「政府はインターネット販売と抱き合わせでマイナンバーの紐づけを検討しています。これなら誰が、いつ、何を買っていくら儲けたか、1円単位で掌握できます。実は、総務省は将来のインターネット選挙投票に向け、かねてより準備や実験を進めていて、合法化さえ決まればシステム的には実施が十分に可能なのです」(同)

『ウマ娘』藤田晋社長も太鼓判!

今年はエンゼルス・大谷翔平の活躍に続き、広島から移籍したカブスの鈴木誠也がいきなり活躍し、開幕2週目の週間MVPを獲得。さらに若武者「ササキロウキ」の出現で、海外のスポーツベッティングでも日本のプロ野球への関心が上昇しているのだ。

さらに、スマホ向けの人気ゲーム『ウマ娘 プリティーダービー』を成功させたサイバー・エージェント社(藤田晋社長)は、日本でスポーツベッティングが解禁された場合の市場規模について、年間最大7兆円の売り上げが期待できると発表している。


「日本中央競馬会(JRA)の年間売り上げは約3兆円、ボートレースのそれは約2兆円。それと比べれば、いかに巨大な市場かが分かるはず。コロナ禍と円安で財政的な課題は山積しており、われわれの業界にとっても大きな追い風となるだろう」(スポーツ紙デスク)


JRAの納付率にならい、総売り上げ(7兆円)の25%を国庫に納めて残りを配当金に充てても、〝胴元〟には年間約1兆円弱(国庫納入の半額)が戻ると試算される。その半分をスポーツ振興に回せば、プロ野球どころかすべての競技が助かり、波及効果も大きい。


「今あるサッカーを基本としたスポーツ振興くじ(toto)の昨年の総売り上げは約1000億円。そこからスポーツ振興に配分される助成金はわずか160億円です。スポーツベッティングが合法化されれば10倍増どころの話ではありません。期待が高まるのは至極当然な話です」(日本オリンピック委員会・関係者)


これを牽引するのがスポーツ専門のビデオ・オン・デマンド・サービスを手掛けるDAZN(ダゾーン)だ。既にインターネット経由でサッカー、野球、F-1、テニス、格闘技などのスポーツコンテンツをライブ中継している。かつて運営していたイギリスのパフォームグループは世界的なブックメーカー(賭け屋)で、各国にさまざまなデータやオッズを提供してもいる。

“受動的購入”のtotoとは根本的に違う

17年からプロ野球の放映に着手したDAZNは、広島の主催試合を除く公式戦、交流戦、クライマックスシリーズの全試合を放送。当初はtotoの野球拡大を見込んでの判断と思われたが、大手広告代理店によれば年間20億円の契約を締結した巨人と独自の「ウオッチ&ベッティング」を計画しているのだという。

「読売グループには系列の日本テレビがあり、独自にインターネット配信で巨人主催の試合、阪神主催の巨人戦などを放送している。これらのコンテンツを拡大すれば既に全試合を一括放送管理しているパ・リーグに加えセ・リーグも同様の扱いが可能となり、セ・パの全試合をまかなえる。日本を代表する巨大メディアをスポーツベッティングに噛ませることで、合法化が促進できるという計算も透ける」(前出のスポーツ紙デスク)


「ウオッチ&ベッティング」は、複数の試合結果をコンピューターが無作為に選んだ勝敗を受動的に購入するtotoとは根本的に違う。例えば、佐々木が次打者に対する三振、凡打、四球、ヒット、本塁打などのオッズがネット画面に表示され、自身の予想で投票する。リアルタイムにネット観戦と賭けが楽しめ、トレンド化するのは間違いない。


コロナ禍の行政サービスで進められてきたデジタル活用と通信インフラ整備が意外な形で結実したのがこのスポーツベッティング。日本のデジタルトランスフォーメーションの牽引役が期待されている。