現代では、〝推し〟の芸能人のSNSに直接、思いを書き込むことができるが、ネットもスマホもない時代には、「ファンレター」を送ることが唯一の手段だった。中には、とんでもない文面を送りつける輩もいて…。
●昭和57年4月1日号掲載『モーレツ!!ファンレターの中身公開』(4)年齢・肩書等は当時のまま
なんとも健康的でムチムチの榊原郁恵ちゃん。子供、子供と思っていたら、この五月には二十三歳になるというからオドロキ。あどけないなかにも女の色気がチラホラのぞかれ、小学生から中年すぎのオジンまで、郁恵ファンは幅ひろい。
これは横浜市の40代になる自営業のおっさんからの熱烈ラブレター。
「このトシになって、ファンレターもないと思うんですが、郁恵ちゃん、アンタだけはガマン出来ないので、恥をしのんで一筆啓上する。
ボクの女房は四十二歳。いま、病気で入院中。体はもうすっかりしなびてしまったナスビのようで、ここ二年ほど、夜の営みはありません。ボクは四十四歳、正直いって、まだまだ元気で、むしろ、これからが、本当のヨロコビを味わえるトシだと思ってます」
中三の一人息子が郁恵ちゃんの大ファンだという、この男性。息子と一緒にテレビをみているうちに、自分もファンになったという。
「ピチピチギャルと一夜を共にしたい」
「テレビでしょっちゅう郁恵ちゃんの歌やコマーシャルに食い入るように見入っています。ところが、ボクも息子以上に郁恵ちゃんファンになってしまったのです。
郁恵ちゃんの新鮮でダイナミックな姿を見ていると、ボクの体はムクムク精気が燃えさかってくるのです。
もちろん、ボクは郁恵ちゃんの恋人になったり、結婚の相手にはなれません。しかし、せめて一度だけでも、郁恵ちゃんのようなピチピチギャルと一夜を共にしたいんです。郁恵ちゃんと違って、ボクは人生経験も多いし、アッチだってベテラン。どんなことでも郁恵ちゃんのためならやります。郁恵ちゃんのいいなりになって、ドレイのように仕えます。愛するテクニックも十分心得ています。
ボクの妻は長いこと入院中なので、妻への遠慮は全くいりません。それに、横浜の繁華街で親代々の商売をしている関係で、多少の財産はあります。郁恵ちゃんが必要というなら一千万円ぐらいは差し上げられます。たった一夜、いや、ムリなら二、三時間、ボクの相手をしてください。中年男のこってりとしたサービスを受けてやってください。
きっと、ボクのサービスを経験したら、郁恵ちゃんは、すっかりメロメロになって、キレイに揃った歯並びの間から、満足したよろこびの声をあげると思います。
ああボクは我慢できません。どうか、横浜は近いところです。いつでも電話くだされば、どこへでも飛んで行きます。もちろん、絶対に他言はしません。郁恵ちゃん、悩める中年の男を助けると思って、電話をください。かわいい郁恵ちゃん、横浜市のTより」
いやはや、相当の熱の入れよう。郁恵ちゃんも、さぞびっくりしたことだろう。
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