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宮崎美子「本当は優等生じゃないの…もう23歳なんだもん」【週刊実話お宝記事発掘】

宮崎美子
宮崎美子 (C)週刊実話Web

コンプライアンスの厳しい現代では「不倫」をしただけで犯罪者のように扱われるが、昭和の時代は実におおらか。“浮気も芸の肥やし”程度だったが、当時の人気者たちは、どんな恋愛観を持っていたのか。

●昭和57年1月21日号掲載『独身人気スターの恋愛観』(4)年齢・肩書等は当時のまま

マシュマロみたいな感じの笑顔をつくって、宮崎美子はいったものだ。

「いないんですよ、恋人。もっか募集中って書いてもらっちゃおうかなあ」

TBSのテレビ小説『元気です!』に出演しているときのことである。芸能ジャーナリストは、それを疑う者はいなかった。ところが、実際はとんでもないことで、熊高時代からの恋人がいたのだ。同じ熊大の、美子は法文学部法律だったが、恋人は医学部専門過程で医師になることを目ざしている。

ふたりが知りあったのは、熊高の文化祭で三年生のときのことだ。当時のクラスメイトは打ち明ける。

「彼が演劇部で、彼女は放送部。たまたま合同公演をやったんです。その企画を担当したのが彼。どっちも議論好きで、教室でよく話しあってましたよ」

そして、その交際はともに熊大に入学できたことによって、親密度をより深めたらしい。こうもいった。

「どちらも社会派で、自治会を発達させる運動の発起人になったんですね。自然保護の署名運動のときもふたり並んで…。そのころには、すでに離れられぬ仲だなんてみられていましたよ」

タレントとのかけもちをしても、熊大を卒業したいという美子の考えの裏には、彼との交際問題が大きくかかわっているわけだが、美子をよく知る地元紙の記者は、「実は、あの写真を撮ったのも彼なんですね」といったのだ。

あの写真とは、美子をスターにするきっかけとなった『週刊朝日』募集のキャンパス・ギャル応募作品のことで、撮影場所も彼の自宅の庭とわかる。熊本県玉名市で眼科医を開業している彼の父親は、こういった。

「熊本市内にもう一軒、わたし共の家がありまして、そこからせがれは大学へ。美子さんも熊高時代から、よくその家に遊びにきていたようですね。いそがしくなったいまも、帰郷してくれば必ず、立ち寄って話をしてゆきますよ。両方で電話をかけ合い、近況報告をしているようなこともきいています」

数日遅れてだが、彼も「交際しているのは事実です」と認めている。ただ「彼女が進路のことで悩んでいたとき、ぼくはタレントになることに強く反対したんですよ」と打ち明け、「だから恋人はいないといったのではないでしょうか。そういわれても仕方ないほど、ぼくも我を通そうとしてしまったし…」といったのだ。

「先までみえちゃう人生がおそろしくなって…」

美子が熊大に休学届けを出したのは、タイミングからみて、どうもその直後と思える。しかも、その前後には見合いもしている。まるで一貫性がないのだ。

見合いの相手は、熊大工学部の出身だ。熊大付属高の先生をしている人だった。“仕掛人”は資源開発研究室の教授である。

「教授に呼ばれて資源開発研究室に出かけて行ったら、そこに彼女がいて、まわりにいたやつらがなにかニヤニヤしているんですよ。おかしいな、と思ったら、それがお見合いだったんですね。教授が、誰か彼女とお見合いして結婚しろよ、そうしないと、東京かどこかの男にとられてしまうぞ、と研究室のみんなにけしかけ、それならばあいつがいいと、ぼくが、代表選手に選ばれたらしいんですね」

相手は、こう述懐する。「だが、急にお見合いといったってねえ……」の態度は変えていなかったものの、水前寺公園に近い美子の実家へは何度か出かけて銀行員の父親にも会い、美子もその先生に手料理をごちそうしている。

お互いまんざらではなかったことを裏づける。だが、実らなかった。美子はいう。

「教授の奥さんになって、いくつに老いさらばえるのかって考えたら、そんな先の先までみえちゃう人生を歩くことがだんだんおそろしくなって…」

医学生の恋人とも、どうやらこの考えがわざわいして、いまはもはや進展なしの凍結状態のようだ。美子をまるで姉のように慕い、熊大の同じ学部をわざわざ選び進学した二年後輩は、こんなふうにいっている。

「恋人とは、もうダメでしょうね。先輩はタレントになる前には、看護婦の資格をとっても彼といっしょになり、苦労をともにするつもりよ、なんていっていたのに…。だから交際だって、単に恋人の域にとどまっていたわけではないのにね。東京で、妻子あるビジネスマンと付き合っているって事もきいたわ。私は、それがどういうひとか知ってるけど、話したくない。裏切られたようで、くやしいだけなんです。先輩ほどのひとでも都会の空気を知ったら染まっちゃうんだなあと思うと…。どうせそれも、遊びでしょうしね。もっとも、タレントってのは、そういうのがビジネスとして必要なんでしょう」

「決してやましいおつき合いではありません」

美子が、みかけと違って本質的には浮気肯定派のようなことを暗に示している口ぶりなのだ。そういえば、美子は「処女性って別に、必要ないと思いますよ。そんなことにこだわっていたら笑われます」と、あっさりしている性格だ。

「キスですか。それは…ありますよ。もう23歳ですものね。暴力的に? とんでもない、納得してです。好きなタイプは阪神にいた江本孟紀元投手、グレゴリー・ペック。それにダスティン・ホフマンというところ。熊高からの友だち(恋人)は江本投手に似ていたんです」

二年後輩がいわば暴露した、いま新たに美子がつき合っている妻子あるビジネスマンも、それと似たようなタイプだ。美子に、どのていどまでの交際なのかをきくと、一瞬ためらった。しかし、あれこれ交際の裏づけ事例を示され、逃げられぬとかんねんしてか、こういった。

「あくまで仕事を通してのことで…。いろいろ面倒をみてもらって…。ただ、それだけなんですよ。わたし、東京のことをよく知らなかったでしょう。それに、目先のことにこだわらない、将来を見詰めた大きなところに引かれたんですね。でも決してやましいおつき合いではありません」

郷里には恋人がいて、しかも別のひとと見合いもし、そのことを何もつげずに、東京では妻子あるビジネスマンと親しくしているとなれば、浮気肯定派の印象はぬぐえなくなる。

もっとも、23歳にもなっているんだから、それくらいは仕方ないこと。それで浮気肯定派のレッテルをはるのはかわいそうだ、との見方があるのもいなめない。実家で留守をしていた美子のおばあさんはいった。

「ちょっとしたハズミで、えらい評判になって…。明るいあの子がいなくなって、家のなかがとても寂しいですよ。都会っておそろしいところ。それに汚される前に、はよう帰ってほしいですよ。でも、あの子はとてもガッチリしていて、おこづかいも貯めているようです。もうお嫁にいく貯金ぐらいあるだろうし、はよう身をかためることですね。フラフラしていたらろくなことはないですし…」

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