香港の女神・周庭さん「禁錮刑」に抗議せず中国にすり寄る管政権

昨年に香港政府の「逃亡犯条例」改正案に抗議する警察本部包囲デモを扇動したとして、無許可集会扇動罪などに問われた民主活動家3人の公判が、12月2日、香港の裁判所で開かれ、周庭(アグネス・チョウ)氏に禁錮10カ月、黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏に禁錮13.5カ月、林朗彦(アイバン・ラム)氏に禁錮7カ月の量刑がそれぞれ言い渡された。

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「3人の学生指導者に『暴力行為には参加していないが、潜在的にあおった責任を負え』という無茶苦茶な判決です」(香港在住の日本人ジャーナリスト)

「民主(学友)の女神」と称される周氏は、これまでに4回逮捕されている。昨年10月、北海道大学公共政策大学院の研究員に任命された彼女は、「とても光栄」と言いつつ、「出境を禁止されている私だから、北大に行けるのはいつになるか分からない」と、悲観的なコメントを残していた。

それにしても中国共産党の完全なコントロール下に置かれた香港政府は、まさに「チャイナチ」とも言うべき人権蹂躙ぶりだ。

「10月27日、香港の民主活動家4人が、政治的亡命を求めて米国総領事館に駆け込んだところ、外交問題に発展することを恐れたのか拒否されている。11月1日には、立法会(議会)現職議員4人を含む民主派政治家7人が、香港警察に逮捕され、抗議の声を上げた民主派議員15人が、同月11日に全員辞職しました」(香港ウオッチャー)

毒にも薬にもならない菅義偉首相の“人権意識”

この中国の蛮行に対して、米国、英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの外相が即座に抗議し、復職させるよう求めたが、当然のことながら日本は「一抜けた」と抗議の輪に入っていない。

11月24日、中国の王毅外相が来日した際も、会談した茂木敏充外相は予想通り香港の人権問題を持ち出さなかった。それどころか王外相に、日本の領海侵犯を非難されても、実際は日本の主権が支配する地域でありながら一言の反論もできなかった。

菅義偉首相も香港の人権問題や尖閣問題に触れず、毒にも薬にもならないことを述べただけ。唯一、加藤勝信官房長官だけが、周氏らの逮捕に直接は触れないものの、かろうじて王外相に、「香港情勢について懸念を持って注視している」とだけ伝えたが、完全に無視されたという。

12月9日、周氏が申請した上訴期間中の保釈について審理を行った高等法院は、許可しないとの判断を示した。日本は中国共産党と香港政府による「人権蹂躙」を目の当たりにしながら、指をくわえて見ているしかないのだろうか。

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