日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web
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『カワムツ』香川県/虹の滝産~日本全国☆釣り行脚

高松港にてマアナゴやらタケノコメバルを夜釣りで楽しんだ前回。香川といえば〝こんぴらさん〟でおなじみの金刀比羅宮や、食では讃岐うどんなど、観光名物の多い県でもあります。


せっかく高松に来たのですから、たまには釣りを忘れて観光も楽しみたい、ということで翌日は〝こんぴらさん〟に行ってみることにしました。


【関連】『タケノコメバル』香川県/高松港産〜日本全国☆釣り行脚 ほか

高松市内で遅い朝食となる〝うどん〟を食べてから、一路、琴平へと車を走らせます。市街地を抜け、長閑な平野の風景を楽しみながら走ること1時間ほど。祓川橋の大きな鳥居を抜けると、ほどなく琴平町となり到着です。


駐車場に車を停めて、「さて、こんぴらさんにお参りを…」と歩き始めたところで、道沿いを流れる川が目に留まりました。決して綺麗な川ではありませんが、春のせせらぎというのは何とも雰囲気がよいものでソソられます。


「何か釣れないものか…。たしか渓流竿と簡単な仕掛け、それからエサは…チーズ蒸しパンがあったはず」


小学生の頃、社会科の授業中に先生の話も聞かず、教科書にある各地の海、川、用水路の写真を眺めては、「何が釣れるんだろう」と思いを馳せていたワタクシ。せっかく観光に来たのに悪い癖が頭をもたげます。


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

河原に降り立つと、春の陽射しを受けてキラキラと輝く水面は、いかにも何かしら釣れそうなムードで、早速仕掛けを振り込んでみますが、期待に反してアタリはありません。めぼしいポイントには一通り仕掛けを入れてみたものの、結局アタリはナシ。つい夢中になり、結構な時間を費やしたことから次なる観光の目的地である塩江温泉郷へ移動することにしました。

果たして何が釣れるのか…

高松の奥座敷とも言われる塩江温泉郷は、山あいにある趣のある温泉街で、ここの日帰り入浴施設〝行基の湯〟も観光の目的の1つです。駐車場に車を停めて「さてひとっ風呂…」と歩き始めたところで、温泉の横を流れる川に目が留まりました。所々にある落ち込みは、いかにも魚が潜んでいそうで実にソソられます。

日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

そそくさと竿と仕掛けを取り出し、河原に降りてめぼしい落ち込みをすべて探ってみますが、一向にアタリはありません。もう、こうなるとムキになってしまうもので、どこか釣れそうな場所はないものかと地図を見たところ、近くに〝虹の滝〟というスポットが。滝→滝壺→釣れそう、という単純な思考回路から虹の滝へと車を走らせてほどなく到着。駐車場に車を停め、誰もいない静寂の森の中を、せせらぎに沿って遊歩道を歩くうちに滝が見えてきました。


幸い足場は良く、滝壺近くまで運動靴で行けそうです。忍び足で滝壺に近寄ると、浅かったせせらぎも、それなりの広さと水深があり、なんとか釣りになりそうで一安心です。果たして何か釣れるのか?


日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

伸ばした竿に仕掛けを結び、鼻クソほどの大きさに丸めたチーズ蒸しパンをハリに付けて静かに仕掛けを投じます。滝からのほどよい流れに乗る玉ウキ。と、ピョコッ! と一瞬沈んだ後にスーッと水の中に引き込まれ、反射的に手首を返します。スカッ! 残念。空振りでエサのない空バリが返ってきました。

森林&滝のマイナスイオンが溢れる釣り場

とはいえ、昼すぎから竿を振ること数時間で初めての明確なアタリは、がぜんヤル気が出るというものです。今度は鼻クソよりもさらに小さく丸めたチーズ蒸しパンをハリに付けて、仕掛けを振り込みます。

緩やかな流れに乗る玉ウキは、再びピョコッと反応し、水中に引き込まれます。いい加減に引き込まれるまで待ってから、軽く手首を返すと水中でキラッと魚影が光り、ブルルッと心地よい手応えで釣れたのはカワムツです。カワムツの魚影は濃いようで、ここからはエサを付けて仕掛けを流すたびにウキが沈み、ちょっとした入れ食いに。わりとどこの川でも目にする、いわゆる雑魚の類いのカワムツですが、半日竿を振ってようやく釣れてくれたのですから有り難い限りです。


カワムツ (C)週刊実話Web

森林&滝というマイナスイオン溢れる環境の中、ひとしきりカワムツの入れ食いを楽しむうちに辺りが薄暗くなってきたこともあり納竿。帰りはもちろん〝行基の湯〟でひとっ風呂浴び、これがまた趣のある素晴らしい温泉施設で大満足のうちに帰宅となりました。


カワムツの甘露煮 (C)週刊実話Web

帰宅後はカワムツを甘露煮にして晩酌。素朴な肴ながら内臓のホロ苦さが旨く、ワンカップをチビリ。釣り欲に負け、観光は志半ばとなりましたが、ドタバタと楽しい1日となったのでありました。
三橋雅彦(みつはしまさひこ) 子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。