千葉マリンスタジアム (C)週刊実話Web
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佐々木朗希が火をつけた「国際ドラフト」早期実施!究極の青田刈り危機…

メジャーリーグの新労使協定で「国際ドラフト」実施が合意に達し、日本の高校・大学選手の乱獲が懸念されている。


日米のドラフトで重なる選手獲得は紳士協定で自粛してきたが、〝令和の怪物〟ことロッテ・佐々木朗希投手の「完全試合」で米国側が一方的に反故に。掟破りの青田刈りに戦争勃発――。


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19奪三振を含む28年ぶりの完全試合に続き、17日の日本ハム戦でも8回まで完全投球を披露。これで3試合をまたいでの佐々木の連続打者アウトは52人となり、MLB記録を更新した。


米メディアの関心は「佐々木はいつMLBに来るのか?」に移り、170キロと〝二刀流〟大谷翔平超えが期待される20歳の豪腕エースに、複数の球団が「10年100億ドル(約125億円)」の値を付けたと報じている。


「日本のプロ野球の規則では、MLBに移籍するには計9シーズン在籍して海外FA権を獲得するか、ポスティングシステム(PS)を活用するしかない。ただし、これには微妙な条件が付く。前回、2016年に決められたMLBの労使協定で、25歳未満の選手の契約金を54万5000ドル(約6800万円)以下に制限しているため。それ以前に渡米した松坂大輔(6年約60億円)やダルビッシュ有(6年約145億円)、田中将大(7年約194億円)のような超大型契約は結べない」(スポーツ紙記者)


2億7000万円の年俸を投げ打ち18年にアメリカに渡った大谷翔平は極めて異例。佐々木はあと5年ロッテに在籍し、27年オフの渡米が現実的な選択なのだ。


「米球界転身を希望しロッテ入りした佐々木に対し、球団は今季から2年連続で圧倒的な成績を残せばPSを認めるようだ。それは、25歳規制があるため、『第2の大谷にはならない』と見ているから。どのみち、ロッテには譲渡金2000万ドル(約25億円)が入り、これは大きな魅力」(同・記者)

日本側に“待った”の手段がない!

27年まで佐々木の活躍が日本で見られるのはありがたいが、米国のハゲタカは座して待つほど悠長ではない。佐々木の獲得が当面無理なら、次善の策…。そこで拍車がかかったのが、日本のアマ選手を指名できる「国際ドラフト」の実施。掟破りの青田刈りだ。

現行のMLBドラフトは、アメリカ、カナダ、プエルトリコの学校や独立リーグ在籍の選手が対象となっている。つまり、中南米のドミニカ、ベネズエラ、メキシコとアジアの日本、韓国、台湾の選手は指名できない。


「除外国を設けたのは、選手会がメジャーリーガーの生活を〝出稼ぎ選手〟から守るため、強く反対したからです。しかし、昨年12月から続けているMLBとの新労使協定で、方向を転換。オーナー側から最低保証年俸、球団総年俸額の引き上げなどを勝ち取ったことで歩み寄り、国際ドラフトの導入賛同に転じました。今年7月25日までに合意に達すれば、24年から実施の運びとなります。これは由々しき事態」(NPB関係者)


日米のコミッショナーは、契約選手に関する協定を締結しているが、アマチュア選手の身分についてはない。アマ選手がドラフト対象となったら獲得を控えるという〝紳士協定〟があるのみ。


「国際ドラフトが実施されて米球団が日本のアマ選手を指名した場合、日本側には〝待った〟をかける法的手段がありません。しかもMLBドラフトは米国の学校の大半が学年末を迎える6月上旬に実施される。日本のドラフトより時期が早いので大混乱は必至」(同・関係者)


国際ドラフトで米球団が日本人選手を指名しても、手にできるのはMLBにおける独占交渉権だけ。選手は拒否することもできるし、日本のプロ野球のドラフトを待つこともできる。しかし、国際ドラフトでMLB入りすれば、25歳以下で入団した場合の契約金制限がなく、メジャーに昇格すれば最低年俸70万ドル(8750万円)が約束される。その後のアップ額もスピードも、日本球界と比べてケタ違いに早い。最終目標をMLBとする球児は、今後、プロ野球をパスしてアメリカに向かう可能性がある。

自前で育てる方が費用対効果が大きい

近年の日本球界には、大谷、佐々木ばかりでなく、高校・大学を卒業したばかりの若手投手が綺羅星のごとく存在する。昨季MVPの山本由伸(オリックス)、昨季セ・パの新人王・栗林良吏(広島)、宮城大弥(オリックス)、佐々木の同級生でライバルの奥川恭伸(ヤクルト)などだ。

「MLB側は、FAやPSで日本人選手を獲得するのは、費用がかさみ、他球団との競争も激しくなるため敬遠気味。それより国際ドラフトで好素材を大量に入団させ、自前で育てる方が費用対効果が大きい。U-18世代を常時チェックするなど、指名の準備を整えている」(前出のスポーツ紙記者)


懸念されるのが、夏の甲子園大会への影響だ。佐々木は大船渡高校3年時、全国高校野球選手権岩手大会の決勝戦に登板せずに花巻東に2対12で敗れたため、本大会出場を逃した。彼の将来を気遣った國保陽平監督が温存したのだ。


何が言いたいかというと、6月にMLBの国際ドラフトが実施されれば、高野連が指名された選手の夏季甲子園県大会出場をどう判断するか、微妙になる。一方、大学2~3年生の指名も可能で途中退学者も出てきそうだ。手塩にかけて育てた選手を一方的にかっさらわれる日本のアマ球界の指導者はたまったものではない。


佐々木が快進撃を続ける中、意外な形で勃発した日米の野球戦争。一方的に侵略を受ける日本球界はどのように立ち向かうのか――。