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『レディ・トゥ・レディ』/12月11日(金)より全国ロードショー~LiLiCo☆肉食シネマ

Ⓒイングス

『レディ・トゥ・レディ』
監督・脚本/藤澤浩和
出演/大塚千弘、内田慈、新納慎也、清水葉月、朝見心、本間叶愛、オカモトジョージ、福田温子、山中敦史、生田智子、木下ほうか
配給/トラヴィス

お仕事お疲れ様です。今年は忘年会が中止でも、相変わらずバタバタの年末。多忙極める皆さんは分かっていると思いますが、こういうコロナ禍の時こそ大事なのが人の繋がり。これが一番、大切だと思うんです。

今回は、まさに人の繋がりによって作品が決まりました。毎日のように映画の売り込みが来ますが、残念ながら、埋もれてしまう作品も多々あります。そんな中、いつもお世話になっているライターさんから、〝あまり目立ってはいないけど、いい作品に出会った〟と聞き、すぐに見てみたら、確かに素晴らしい内容だったのです。とにかく見終わったあとは清々しく、柔軟性と、夢を諦めないことの大切さを改めて考えさせてくれました。

平凡な主婦・鈴木真子と、売れない女優・城島一華の2人が奮闘する、社交ダンスをテーマにした作品。私は、どちらの女性にも感情移入しまくり! 主婦は本当に大変で、自分の時間もないし、家事に追われてやりたいこともできない。そして女優は、売れていない時は本当に何でもやらなければいけない。俳優の新納慎也がユーモアたっぷりに演じ、雑な企画を出すプロデューサーのリアルさにも、思わず笑ってしまいます。

新しいことに挑戦する勇気を持って!

そのプロデューサーがある日、社交ダンスの企画を持ってきます。でも、相手は自分で探さなければいけない。知り合いの男性に声を掛けるものの、ハードルは高い。そんな時、同窓会でこの2人は再会します。そして、かつてはダンスをしていた2人が、また一緒にやることになるのです。男女が煌びやかな衣装で踊る社交ダンス。まさかの女性ペアで、果たしてどんな踊りになるのか? とにかく、今までのルールを取っ払うくらいのガッツが最高に気持ちいい。中でも感動するのは、この企画の担当になったアシスタント・ディレクター。彼女が、〝女性同士の社交ダンスを見たことないからこそ、やるのだ〟と言い張れる姿に心を打たれ、見ている私もシビれました。

私は日本に来てから、〝責任逃れ〟とも感じる、多くのことを経験しています。アイデアを出しても〝すごく面白い! …でも、前例がない〟と、ずっと言われ続けてきました。何かに賭ける勇気ってやっぱり欲しいですよね? じゃないと、なんでもマンネリになってしまう。今回の映画のように、主人公2人のおかげで周りもどんどん変わっていき、成長する姿を見ると刺激になります。

ぜひ、年末を乗り切るパワーにしてください!

LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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