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漫画家・村生ミオさん逝去…青年漫画誌に不滅の金字塔を打ち立て最期まで完走!

『ボディートラップ』1巻
『ボディートラップ』1巻(村生ミオ/日本ジャーナル出版)

本誌人気連載漫画『すえぜん-据膳-』『蜜の鎖-成年Aとの約束』『ボディートラップ』の作者である漫画家の村生ミオさんが、4月16日に逝去した。享年69。人知れず病と闘い続けながら新作漫画の執筆を続けていたが、ついに力尽きた。

村生さんは1952年、徳島県に生まれる。72年に『かっぱラブラブ大作戦』(別冊少年ジャンプ)でプロ漫画家としてデビュー。74年に『ふたごバンザイ』で第7回手塚賞佳作受賞。81年スタートの『胸さわぎの放課後』(少年マガジン)が大ヒットすると、90年代から青年誌を中心に活動を開始。大人の恋愛をテーマに、『微熱MY LOVE』(GORO)や『SとM』(週刊漫画ゴラク)などを送り出し、人間の深層心理に鋭く切り込む描写で、青年漫画の金字塔を打ち立てた。

本誌担当編集者が、漫画とともに生きた村生さんのこれまでの闘いを明かす。

「『ボディートラップ』の連載中だった2019年に体調を崩し、その年の1月に休載の申し出の電話がありました。仕事を続けることが難しい状態だったため、このまま打ち切りも致し方ないことと覚悟していたんです。しかし、その1年後に、『完結までいきましょう』と連絡が入ったのです。執筆再開後は、『湧き出るアイデアが止まらない』『この手が漫画を描きたいと言っている』など、冗談も出るほどの回復ぶりでした。おかげで最終回まで完走することができたのです」(同)

4月28日発売号より新連載開始!

さらに、その後もペンを置くことはなかった。

「今年に入ってからも、仕事には貪欲でした。村生さんは対話を大事にする人で、『担当編集者から聞く男女間の話は、原作においての大きな資料となる』と、打ち合わせではマンツーマンで3時間を超えることは当たり前。また、デジタル社会への流れにも敏感だった村生さんは、『スマホでは縦スクロールの漫画が主流なんですよ』『見せ方の自由が広がるから面白いんです』と、漫画のデジタル化にも肯定的で、制作にも意欲的に取り組んでいたんです」(同)

しかし、確実に病魔は村生さんの体を蝕んでいた。

本誌は新連載の開始に向け、村生さんに新たなオリジナル作品の制作を依頼。昨年から執筆を開始し、20話近くの原稿を描き溜めていた矢先の訃報だった。

その遺作となった『闇に抱かれる女』を4月28日発売号から連載スタートする。

漫画をこよなく愛した村生さん。13年に発売したコミック『すえぜん』に収録された特別インタビューで、漫画界の未来について、こう語っている。

「やっぱり、面白いものっていうのは誰もが見たいと思うんですよ。だから、結局は追求していくしかないんですよね。それを我々は出し続けるしかないんじゃないかと」

これまで、たくさんの名作を残してくれた村生さんに深く感謝を申し上げるとともに、心からご冥福をお祈り申し上げます。合掌。

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