綱取り候補の一番手から一転、大関カド番に追い込まれた朝乃山。十一月場所の前は、すこぶる威勢がよかった。
この場所を最後に定年になる師匠の高砂親方(元大関・朝潮)に「優勝して恩返しをしたい」と語り、同時に綱取りにも並々ならぬ意欲を見せていた。
「両横綱、白鵬と鶴竜の休場もあって、朝乃山の場所前の下馬評は〝優勝争いの最右翼〟でした」(担当記者)
ところが、初日の霧馬山戦で、いきなり右肩の筋肉を傷め、3日目には初の休場に追い込まれたのだ。
「優勝どころか、1勝2敗12休。1月10日から始まる初場所はカド番で、負け越せば大関陥落が待っている厳しい状況です」(同・記者)
現在は痛みも消え、すでに土俵に降りて四股、すり足など、体を動かし始めている。休場中も、毎日欠かさずテレビで幕下の取組から観戦していたという。
「本来であれば15日間出てるのに、何でテレビの前で、第三者のこんなところにいるんだろうという気持ちだった。この悔しい気持ちを来場所にぶつけたい」
こう話す朝乃山だが、取り巻く環境も激変している。
新親方は“問題横綱”朝青龍の後輩
11月26日の理事会で、これまで部屋付きだった錦島親方(元関脇・朝赤龍)が高砂親方と名跡を交換し、新高砂として部屋を継承することが承認された。高砂親方は再雇用制度を利用して協会には残るが、もうこれまでのように立ち入った指導はできない。
「新高砂はモンゴル出身で、明徳義塾高時代から高砂部屋まで朝青龍が1年先輩だった。〝問題横綱〟の綱取りの過程や、横綱としての行動を最も身近で見てきた人物です。やはり微妙に空気感が違いますから、朝乃山に同じような接し方を強いたら、えらいことになりますよ。朝乃山にしても、これまでのように黙って師匠のあとをついていけばいい、というワケにはいかなくなる」(前出の担当記者)
部屋継承が決まったとき、新高砂は朝乃山の手を握って、「協力して部屋を活気づけ、盛り上げていこう」と話したというが、この親方の交代が吉と出るか凶と出るか。
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