
蝶野正洋『黒の履歴書』~ウィル・スミス事件は「笑ってはいけない」のパクリだね
第94回アカデミー賞の授賞式で勃発したウィル・スミスのビンタ事件が大きな話題となっている。
クリス・ロックというコメディアンが、ウィル・スミスの奥さんを揶揄するようなジョークを放ち、怒ったウィル・スミスがステージに上がって平手打ちをした。この行為が大問題となっている。
【関連】蝶野正洋『黒の履歴書』~メディアの偏った報道についてほか
俺は専門家じゃないんだけど、世の中でビンタ事件が起きるとなぜか俺に取材が殺到するんだよ。あえて言わせてもらえば、今回のシチュエーションは2020年の大晦日に放送された『ガキの使いSP 笑ってはいけない』のパクリだね。
あの時は、俺の妻のマルティーナがセクハラされて、その犯人の山崎邦正くんをビンタするという流れだった。俺の時と違うのは、ウィル・スミスは近づいて行って、素早く不意打ちみたいなビンタを放ったところ。俺は絶対にこういうことをしない。台本上は「ビンタ」としか書いてなくても、その前に時間をかけて、こういう理由でお前はこれから罰を受けるんだ、ということをしっかりと強調する。そうしないと、ただの暴力になってしまうからね。
受けたクリス・ロックも駄目だね。リアクションがイマイチだった。のたうちまわって、叩かれた直後の顔をカメラにアピールするくらいじゃないと(笑)。そこはコメディアンとして邦正くんのほうが上だよ。
とにかく、あの場面はお互いに暗黙の了解が出来上がってたと思う。本気で怒ってたらグーでいくし、襲われたほうもやり返して乱闘になってたはずだから。
ショー的なハプニングも含まれている…
そもそもビンタというのは、女性が男性に対してする行為。肉体的に、本気でケンカしても勝てないのは分かってる。でも、怒りの気持ちを表現したいという意味で平手打ちをする。肉体的なダメージよりも精神的なショックを与えるもので、だからこそビンタというのはショー的なんだよ。今回のショーの目的としては、アカデミー賞授賞式でハプニングを起こして映画界の注目度を上げようという目論見だろうね。ただ、俺はビンタとはいえ立派な暴力行為で、これはやってはいけないことだと思う。
しかも、今はロシア・ウクライナ紛争が起こっている。そこで、いくら侮辱されたからとはいえ、暴力で報復するというのは負のメッセージを世界中にアピールすることになってしまう。
アメリカにも戦争反対、暴力反対を唱えている人はたくさんいる。ただ、ハリウッド映画が矛盾しているのは、やたらと暴力的で好戦的な作品ばっかり作ってるんだよ。アクション映画なんて、やられたらやり返す、復讐を賛美するような内容が多いから、その影響はゼロではないよ。
「暴力反対」には本音と建前がある。特にアメリカは銃社会だし、誰もが暴力というものに対して現実的で、シビアに考えてはいるはず。歴史を振り返っても、最終的には暴力で解決していることも多い。
だからこそ、あのビンタを完全否定したら、矛盾が生まれるというか、アメリカという国家が成り立たなくなるということすら考えられる。
ウィル・スミスが映画界から追放されるかもしれないという話も出てきているけど、俺はやがて復帰すると思う。その流れも含めてドラマティックに映画化するくらいの根性がハリウッドにはあるだろうからね。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。
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