社会

18歳“AV解禁”出演強要巡り…成人年齢引き下げで国会が白熱

El Nariz
(画像)El Nariz/shutterstock

民法改正で4月から成人年齢が18歳に引き下げられた。

これに伴い、高校生のAV出演強要被害が起きかねないという懸念が強まり、国会で議論が白熱している。

一連の動きを自民党若手議員が解説する。

「3月に『高校生AV出演解禁を止めてください』という集会が衆議院第二議員会館内で開かれ、話題を呼んだ。集会を開いたのは、性暴力に関する支援活動に取り組むNPO法人で与野党の国会議員も多数参加し、関心の高さをうかがわせた。というのも、成人年齢の18歳への引き下げで精神的に未熟な高校生が、ズルズルと意に沿わないAV出演を強要され、被害が爆発的に増える恐れがあるからです。女子高校生の子どもや孫を持つ国会議員も多く、決して他人事ではありません」

NPO法人関係者によると、AV出演契約は未成年でも18歳以上なら本人の同意があれば可能だった。問題が起きた際は、未成年者なら親の同意を得ず結んだ契約を「未成年者取消権」で無効にすることができた。

「そのため18歳~19歳の未成年女性が『約束と異なる』AV出演を無理やり強要される被害に遭っても、映像拡散前に取り消しを通知すれば、販売や配信の中止が可能で〝水際〟で救われてきたケースも多々あった。しかし、4月1日からの民法改正では成人年齢が18歳に引き下げられたため、『未成年者取消権』が行使できなくなった。18歳現役高校生などの被害多発が懸念されているのです」(同・議員)

あらゆる手でかいくぐる業者続出か!?

当然、この問題は国会論戦でも取り上げられた。例えば、3月28日の参議院決算委員会で、立憲民主党の塩村あやか議員が岸田文雄首相に「未成年者取消権と同等の効果のある政策を、4月1日以降も存続できるようにすべき」と質した。これに対し岸田首相は「さまざまな法律を適切に適用することによってしっかり対応する」と答弁した。

与党・自民党内でも『性暴力のない社会の実現を目指す議員連盟』(上川陽子会長)を中心に、対策を盛り込んだ法案を今国会に提出、議員立法での早期成立を目指している。

「議員立法が出されれば、18歳~19歳の強制AV出演に何らかの規制がかけられるのは間違いない。また、最近は映画監督の榊英雄氏、園子温氏、俳優の木下ほうかなど、立場の弱い女優らへの性加害疑惑が報じられ、世間の視線は厳しさを増している。今後、法をかいくぐってでも、AV出演を強要するプロダクションなどはほぼないはず。国会論議は大きな効果があった」(業界事情通)

国会を巻き込んでの〝訴え〟は一定の歯止めになる見方がある一方、抜け道を探る動きも出ている。

「そりゃ表では〝法に従え〟です。だが、最近はコロナ禍で金銭的に困窮している女性はゴロゴロいる。生活費や遊ぶカネ欲しさに風俗や〝パパ活〟、AV出演する女の子は後を絶たない。強要ではない、つまり、合意の高校生AVなら問題ない可能性が残されている。高校生AVが売れるとなれば、議員立法でもギリギリ法の網をかいくぐろうとする輩も出てくる。実際、もういろんな裏業界、闇業者が知恵を絞り、18歳高校生AV作品を模索していますよ」(元メーカー関係者)

未成年からスカウトして巧妙に信頼を育てる…

18歳AV解禁ストップ集会を議員会館で開いたNPO法人によると、支援団体に寄せられたAV出演に関連した被害相談の数は、2019年度が76件中20歳未満は13件、20年度が90件中同6件、21年度が81件中同20件と、たとえ未成年者取消権があっても被害は出ているのだ。

業界消息筋が従来のAVスカウトの実態を明かす。

「最初は強要したりしない。最初は一緒にご飯を食べ、女の子の相談事を聞き、時間をかけ信頼関係を作る。そして〝あの女優もウチの会社がデビューさせた〟と言葉巧みに夢を膨らませるんです。その上で〝嫌だったら断ってもいいです〟と自社の透明性をアピールするなど、とにかく信頼を築くのがポイントですよ」

典型的なパターンの1つとして、撮影現場ではまずソフトグラビアで水着からスタート。そして、「現場ではすでに多くの人が関わっている。ノーと言えば、莫大な金と迷惑がかかる」と外堀を埋めていく。ここまでクリアすると、後の出演までは簡単だという。

「中学生や高校1年生ごろにスカウトした女の子の場合、地下アイドルやモデルで業界になじませておく。そして、18歳を過ぎてAVデビューさせる。その段階では業界慣れし、抵抗力も萎えズルズルはまるだけ」(同・消息筋)

頑なにAV出演を拒む女性には『芸能界全体の仕事とする契約で、仕事は選べる』と誘い込み、出演を含む曖昧な契約書にサインさせるという。イザ、AVの仕事を『やりたくない』と女性が断ると、法外な違約金で脅すという手口も横行してきた。

元グラビアアイドルの経歴を持つ前述の塩村あやか議員は、国会内の集会でこう気炎を上げた。

「高校生AVがポピュラーになってしまう。日本は『アダルト大国』と言われている。こんな恥ずかしいことを許していいわけがない」

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