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巨大地震の前兆!? 震度4が9日間で9回…不気味な“チェーン現象”とは

(画像)Krakenimages.com / shutterstock

3月31日20時52分、東京湾で起きた地震を皮切りに、日本各地で記録した震度4以上の地震は9日間で9回を数えた。同日23時34分には京都府南部、翌々日は茨城県北部で共にマグニチュード(M)4.4の地震が襲った。

「4月4日は群発地震が続く石川県能登地方沖(M4.3)で発生した。石川県は最近も震度5強があったばかりです。もし付近にある活断層に影響を及ぼしていたら、近くM6~7級の大地震が起きる可能性がある」(サイエンスライター)

5回目は同日19時29分。3月16日に震度6強があった福島県沖(M5.1)で発生した。その2日後の6日も同じ福島県沖でほぼ同規模の地震…。そして、同日17時14分には南海トラフの〝お膝元〟とされる和歌山県北部(M3.6)で揺れ、7日は9時30分に愛知県東部(M4.6)、9回目は8日に再び石川県能登地方沖(M4.2)で震度4と、中規模地震が立て続けに起きているのだ。

武蔵野学院大学特任教授(地震学)の島村英紀氏がこう指摘する。

「南海トラフ地震の前には西日本のあちこちで直下型地震が起きることは、よく知られている法則です。先の南海トラフ地震の前、1943年には鳥取地震(M7.2)が発生し、1000人以上の人が犠牲になりました。これなど典型的な地震ですが、次にどこで起きるかは今の地震学では特定が難しい。石川県の能登半島で起きている震源の浅い群発地震は、やや様相が違うと思います」

きっかけがあれば次々と起こり得る…

京都大学の鎌田浩毅名誉教授は南海トラフ地震の前に頻発する地震を〝チェーン地震〟と呼んでいる。

「最も危ない地域は北陸と山陰地方と予想する専門家もいる。南海トラフ前に当てはめると石川、鳥取、島根の日本海側の全域で大地震が発生しても、何ら不思議ではありません」(全国紙社会部記者)

活断層密集地帯である「近畿三角帯」でも、震度7クラスの内陸地震が警戒されているという。1854年には、近畿三角帯内でチェーン地震の1つである安政伊賀地震(M7.2)が発生しており、甚大な被害を出している。

「当時の記録には『城の石垣が崩れ、番人が死亡』、『家屋、蔵が倒壊して約1000人』が亡くなったそうです」(歴史研究家)

また、1830年にもチェーン地震の1つと見られる京都地震(M6.5)が襲い、280人が犠牲となった。

「研究者の中には、南海トラフ地震の発生は2030年代だとする見方がありますが、もっと早くなる可能性もある。1995年の阪神・淡路大震災は内陸地震が多発するきっかけとなった地震です。実際、2016年の熊本地震(M7.3)、同年の鳥取県中部地震(M6.6)、2018年の大阪府北部地震(M6.1)などは、南海トラフ地震の予兆です。昨年、日本各地であった震度5の地震もそうです。西日本にとどまらず、今やどこで何が起きても不思議ではない状況なのです」(前出の島村氏)

防災ジャーナリストの渡辺実氏が続ける。

「地下深くでは着々とXデーに向けて巨大地震のエネルギーをためこんでいるところではないでしょうか。首都直下、南海トラフ、日本海溝、千島海溝…。ネタはそろったという感じです。専門家の意見は、南海トラフは2030年代に起こると考えている方が多いようですが、私自身は東日本大震災後に指摘されたアウターライズ地震、これが実際に起こり、それがトリガーとなって南海トラフなど巨大地震が発生するような気がするんです。その後、富士山噴火、首都直下、日本海溝と続けて起きる…。単なる私の勘ですけどね」

巨大地震と疫病が重なる悲劇

ここでアウターライズ地震について簡単に触れておこう。アウターライズ地震とは海溝の外側、海側のプレートが隆起した領域で発生する地震だ。陸側プレートの下へ沈み込もうとする海側プレートが、海溝の手前、つまり外側で曲がり始めるために隆起ができる。この下方向へと曲がる力によって、海側プレート内部の断層に圧力がかかり、上下方向のズレが生じ、地震が発生する。地震の大きさとは裏腹に、津波の高さは巨大になることが多い。

「これほど多くの巨大地震がテンパっている時代も、これまでなかったのではないでしょうか」(同)

南海トラフでいえば、現代は江戸時代末期と似ているという。1854年12月、まず安政東海地震(M8.4)が発生すると、その32時間後に安政南海地震(同)が起こった。翌年11月には、直下型の安政江戸地震(M7)が東京を襲った。

「アメリカ風邪、つまり、インフルエンザが蔓延し、死者も大勢出た。時代背景は現代とそっくりですね。疫病による死者が続出したところへ、巨大地震に見舞われたのですから、庶民が悲しみにうちひしがれたのは想像に難くない」(前出のサイエンスライター)

現代は2つの巨大地震と新型コロナに加え、富士山噴火、日本海溝と千島海溝、日向灘などM8~M9クラスの巨大地震の襲来が差し迫っているとされる。

「日本列島がこれほど過酷な状況に晒されたことは、かつてなかったのではないか」(前出の渡辺氏)

それにしても、チェーン地震は不気味だ。

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