島田洋七 (C)週刊実話Web
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たけし&岸本加世子と過ごしたクリスマス~島田洋七『お笑い“がばい”交遊録』

たけしとの話は何度か書いていますけど、たけし、女優の岸本加世子さんとクリスマスを過ごしたこともありましたね。


ある年のクリスマスイブにたけしが「洋七、六本木のレストランはクリスマスは混んでるな。混んでない店は知らねえか?」と尋ねてくるから「知らんよ。別にクリスマスだからってレストランなんか行かんでもエエやん」とそっけなく答えた。「でも、せっかくのクリスマスだからな。混んでない店はどこだろう?」と再度、振ってきた。


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当時は景気も良かったから、街中でジングルベルの曲が流れていたし、レストランも予約でいっぱいだった。よくよく考えた俺たちは、たまに利用していた銀座のスッポン料理屋なら空いているんじゃないかと思い当たったんです。


たけしの運転手が店に電話すると、客が誰もいないということで予約したんです。スッポン鍋を2人前頼むと、よほど暇だったんでしょう。店主が張り切ってね。スッポンを俺らの前に持って来て、「今日のは活きがいいでしょ。首を切り落としますね」。魚じゃないんだから、そんなものは見たくないですよ。「厨房で調理してください」と丁重にお断りしました。


食べ終わって、次に六本木へ飲みに向かっていると、たけしの運転手に、岸本加世子さんから仕事の相談で電話が掛かってきた。一通り話し終わると、たけしが「加世ちゃんは何やっているの?」と水を向けた。すると、ちょうど家にいたみたいで、3人で飲みに行くことになったんです。

クリスマスケーキが10万円!?

加世ちゃんを家の近くでひろい、いろんな店を回ったんですけど、クリスマスだからどこもいっぱいでね。表参道方面へ車を走らせていたらロッテリアが開いている。俺ら3人は誰もファストフードを食べたことがなかったから、入ってみようとなったんです。

レジで「ワインでもウイスキーでもいいからお酒はありますか?」。「うちにはお酒は置いていません」。ファストフード店に酒が置いてないことを知らなかったんですよ。しかも、冷たい態度だったから店の外に出て「冷たっ!」と3人とも口を揃えて言いましたね。


それからまた店を探したけど、どこもかしこも予約でいっぱい。仕方がないので、加世ちゃんを家へ送り届け「また仕事場で会いましょう」と別れました。


たけしの部屋に戻ると、やっぱり1杯やりたい。そうしたら何度か行ったことのある銀座のクラブに2席だけ空いていることが分かり直行しました。席へ通され飲み物を注文すると、40センチ四方のクリスマスケーキが運ばれてきた。俺らはそんなものは頼んでないのにね。流石に食べられないから、他のお客さんに分けようと周りを見渡すと、どのテーブルにもクリスマスケーキが置かれ、クラッカーを鳴らして「メリークリスマス」と盛り上がっている。


飲み終わって会計をすると24万円。普段は、お金のことを一切言わないたけしも「クリスマスは高えな。あのケーキが10万円くらいするんだろうな」とこぼしていました。それをちょうど後ろにいたママが耳にしていて、「日本一売れている漫才師がケーキが高いとか言わないの」とクギを刺されました。
島田洋七 1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。