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蝶野正洋『黒の履歴書』~メディアの偏った報道について

蝶野正洋 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

映画監督が、作品への出演を持ちかけて複数の女性に性的関係を強要したことが問題になっている。他にも、ベテラン俳優が演技指導と称して新人女優にセクハラ行為をしていたとか、そんな話がたくさん出てきた。

これは、もう言語道断というか、いまだにこんなことしているヤツがいるんだと思ったね。

確かに、芸能界はセクハラやパワハラが横行していたという事実はあるけど、それはひと昔前の世代の話だよ。それを「上がやっていたから、自分たちも」と考えてしまう輩がいるんだよね。もう、そういう負の連鎖は止めないといけない。

ただ、一連のセクハラ事件の報道や反響に関してはやや一方的だったかな、と思う。

不倫もそうだけど、最近のニュースでは、当事者たちの関係性や実際の経緯などはあまり伝えられない。被害者が複数いたら、それぞれのケースが違うはずなのに、ぜんぶ一緒にされてしまう。特に最近は〝セクハラ〟や〝不倫〟というワードが出てきたら問答無用で断罪され、加害者が関わっていた作品はお蔵入りとなり、事務所からは契約解除という流れになっている。

ニュースを受け取る側も、その経緯までを追う人はほとんどいなくて「セクハラ=悪」と短絡的になってしまい、謝罪や謹慎処分が出れば終わり。問題は、当事者の人間性にあるのか、それとも立場や環境によって生み出されてしまったものなのか、その構造を検証していかないと、いつまでも同様の事件が繰り返されてしまうんじゃないかな。

まぁ、メディア側が偏った情報しか流さないというのも問題なんだけどね。

嘘ではなくても“演出”の場合もある

ロシア・ウクライナ紛争も同じだよ。

ウクライナは弱者で、侵略したロシアが悪いという前提の報道が多い。ゼレンスキー大統領の主張にもおかしなところがある、という意見があっても、ほとんど黙殺されてしまうし、メディアも報じない。日本にも影響の大きい紛争だからこそ、もっと丁寧に伝えるべきだと思う。

コロナ関連の報道も似たような状況だった。テレビのニュースでは、ワクチンに反対する意見は出ないし、治療薬に関しても報道されることは少ない。イベルメクチンも一定の効果があるという話だけど、コロナ禍が起きた最初の頃はほとんど報道されてなくて、最近になってようやく海外メディアを通して伝わるようになってきた。

テレビのニュース報道は、建前上は公平な立場を取っていて、嘘はついてない、ということになってるけど、映像を駆使した印象操作など、多少の「演出」はある。

ロシアや中国はメディアを支配していて、政府にとって都合のよいニュースしか流さない、というけど、日本もその傾向が強くなっているのかもしれない。

ただでさえ、日本人は多数意見に流されやすいところがあるんだから、常に「これは本当なのかな」と疑ってみる姿勢が大事だよ。

まぁ、『週刊実話』の読者なら、そのあたりは鍛えられてるとは思うけどね(笑)。

1つのソースだけじゃなくて、さまざまなメディアが発信するニュースを、『週刊実話』を読むときと同じ感覚で見ていけば、偏った考えにならなくて済むはずだよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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