
『玉電松原物語』(新潮社:坪内祐三 本体価格1700円)~本好きのリビドー/悦楽の1冊
2020.12.09
エンタメ
何かに対して「ずっと見続けていられる」という言い回しは、いつから定着した誉め言葉だろう。ここ最近のような気がするが、その伝でゆけば今年1月に急逝した坪内祐三は、筆者にとって紛れもなく「ずっと読み続けていられる」文章の書き手だった。
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『雑読系』や『四百字十一枚』あるいは『文庫本を狙え!』に始まる一連の文庫本シリーズなど、数々の書評集で紹介される地味で渋目な本が実際に手に取ってみれば見事にハズレなしの、目利きとして無類。
文学作品を論じても、〝テクスト〟だのと薄ら寒い横文字を得意気に乱打して己の頭の良さを見せびらかしたがる、ありがちな文芸評論家の類とは姿勢も筆さばきも違う。たとえば処女作『ストリートワイズ』所収の〔『俘虜記』の「そのこと」〕なんか、〝戦後文学不滅の金字塔〟扱いの作品中にある致命的な疑問点を見つけてじわじわ検証する過程が、大岡昇平の『俘虜記』そのものよりよっぽど面白い。
無性に“そこ”へ行きたくさせる誘惑
また靖国神社を文化史の視点で語り、左右両翼のイデオロギーの呪縛から解き放った『靖国』も名著と呼ぶほかないが、かと思えば『総理大臣になりたい』などという怪著を語り下ろしで出したり、正直に言って銀座や新宿で仲間とうだうだ飲んだくれている様を撮影しただけとしか思えない映画『酒中日記』に主演したりと、まこと球筋の読めないというか、不思議な剣の遣い手でもあった。遺作となった本書。生まれ育った世田谷を回想する、快速感に満ちた文体にたちまち引きずりこまれてしまう。一見何でもない街や店の姿を描いて無性にそこへ行きたくさせる誘惑に、ファンはもう駆られることはないのが残念。下高井戸「さか本そば店」のカレー最高。
(居島一平/芸人)
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