新関脇・若隆景の初優勝で盛り上がった春場所が終わったばかりの大相撲界は、八角理事長の実質4期目がスタートした。
日本相撲協会は3月28日、両国国技館内で理事会を開き、評議員会で承認された新理事による互選で、八角理事長の続投を全会一致で決めた。2期目の平成28年の改選期に、元貴乃花親方と激しく競り合ったことがあるが、それ以降は対抗馬が1人も現れず、無風状態が続いている。
「協会内を引っかき回した元貴乃花が追われるように退職して以降、みんな萎縮してしまったんですね。もう元貴乃花の二の舞いは御免だ、と。おかげで八角理事長は高砂一門という小派閥の出にもかかわらず、長期政権を担っています」(大相撲担当記者)
八角理事長は4期目のスタートに当たって「引き続き大相撲の伝統文化の継承、土俵の充実を使命として、一生懸命取り組んでまいります」と抱負を述べた。
貯金を減らすことはあってはならない…
今期の課題としては、新型ウイルス対策、収益構造の改革、客へのサービスの拡充の3点を挙げた。いずれも難しい目標だが、中でも1つ間違えば命取りになりかねないのが収益構造の改革、赤字の解消だ。
理事長改選と合わせて、理事会は令和3年度決算も承認し発表。それによると、昨年度も30億円の赤字だった。その前年の令和2年度も新型コロナウイルス禍をもろに浴び、過去最大の50億円の大赤字だったので、この2年間で実に80億円もの欠損を被ったことになる。
相撲協会の財政は豊かなことで定評があり、令和元年現在で473億円もの内部留保金、つまり貯金があった。80億円ぐらいの赤字など、イタくもカユくもないはずだが、協会内の受け止め方は全く違う。
「協会の貯金は、先輩たちが営々と積み上げてきたもの。それを減らすことは、事情はどうであれ、あってはならないことです。もし今期中に赤字を解消できないと八角理事長はリーダーとしての資質を問われ、反乱が起こるのは必至。一大ピンチです」(協会関係者)
八角体制は順風? 逆風?
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