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巨大地震が関東を襲う!? ~ハマグリ大量打ち上げの意味~

Ronnie Chua / Shutterstock

神奈川県・三浦半島の相次ぐ異臭騒ぎに気を取られて、首都圏の「地雷原」と言われる茨城県沖の存在を忘れている人が多いのではないか。世界的なコロナ第3波の感染拡大もあるだろう。11月22日午後7時6分頃、茨城県沖を震源とするM(マグニチュード)5.8、最大震度5弱の地震が発生した。

地震学者で武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が警鐘を鳴らす。

「東日本大震災の震源の南北には、地震の空白地域が存在します。今回の震源は南の端でした。太平洋プレートが起こしたものですが、いずれ東日本大震災と同規模か、それ以上の巨大地震が発生する可能性があります」

宏観異常現象(大きな地震の前触れとされる異常現象)も起きている。実は、11月11日から千葉県・九十九里浜の匝瑳(そうさ)市堀川浜から長生郡までの約40キロメートルにわたる広範囲の海岸では、大量のハマグリが連日打ち上げられる現象が発生していたのだ。

「こんな珍現象はかつてないことです。ひょっとすると、大地震の前触れで、動物の異常行動や地下水の変化などが起きる宏観現象の1つではないのかな。不安ですね」(地元漁師)

宏観現象と地震の関連性は各専門機関で研究が進んでいるが、科学的な因果関係はいまだ解き明かされていない。茨城沖と九十九里浜沖は100キロメートルも離れておらず、何らかの関連性があるのか気になるところだ。

巨大地震の前には常識では説明のつかないことがある

「例えば、これが魚だったら脳を持っているので、先祖代々からのセンサーで異変を感じ取ることができるが、ハマグリには脳がありません。となると、信ぴょう性がないのかというと、そうではありません。太平洋プレートの日本側に沈み込む部分、『ウエッジ』と言われるくさび状の部分には、水が上がってきたりするので、それを感じたハマグリが海岸に打ち上げられた可能性があります」(前出・島村氏)

確かに、そう考えれば、40キロメートルの広範囲にわたって、ハマグリが大量に打ち上げられたのも合点がいく。

「東日本大震災(2011年3月11日)が起きる2日前にも、M7.3、宮城県では震度5弱を観測した。この後に、M9、最大震度7の東日本大震災が起きた。『3・11』前には、大地震の前兆とされる深海魚のリュウグウノツカイなどが水揚げされている。このハマグリが打ち上げられたことと重ね合わせると、巨大地震の前には常識では説明のつかないことがあるんです」(サイエンスライター)

地下水温と地震の関係について見てみると、大地震の前には、ずっと停滞していた水温が急上昇するなどの異変がある。これは、地震前の地殻活動が始まったことを示していると考えられている。ハマグリが打ち上げられたのも、水温上昇による巨大地震のシグナルの推測は成り立つのだ。