エンタメ

蝶野正洋『黒の履歴書』~いざという時の備えは必要

蝶野正洋 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

3月16日の深夜、宮城県と福島県で震度6強の地震が起こった。

関東でも震度5弱が観測され、さまざまな被害が及んだ。

俺は、車で移動していて、ちょうど家に帰ってきたところで地震が起きたんだけど、最初はぜんぜん気が付かなくてね。ずっと車に乗っていたということもあるし、最近の俺は杖をついて、常にユラユラと歩いてるから、揺れているのは地面なのか俺なのか分からなくてね。娘から地震だって言われて、身を引き締めたよ。

幸い、大きな津波もなく、崩壊などの被害も局所的だった。地震に対しては、東日本大震災の経験や、日頃の防災の知識が生きたという人も多いんじゃないかな。

ただ、今回は首都圏で地震が原因となる大規模な停電が起きた。これは福島県にある発電所が地震によって自動停止となり、送電の受給バランスを保つためのシステムが作動して一部の地域を停電させた、ということのようだ。

とはいえ、いきなり電気が使えなくなると、都市部はパニックに陥る。遅い時間だったから、まだ影響は少なかったけど、信号が消えたり、エレベーターに閉じ込められてしまうなどの被害が発生したようだ。

2018年9月に北海道で起きた地震では、今回と似たような状況で送電が停止され、北海道全域でブラックアウトが発生してしまった。この時の教訓を踏まえて、自治体ごとに新たなシステムを構築しているという話は聞いていたけど、まだ実用レベルには達していないことが露呈してしまったね。

電力の供給というのは大変な事業で、発電所や送電といったインフラ設備の問題もあれば、16年の電力自由化以降はビジネスとしても複雑化している。そもそもエネルギー問題というのは国家の柱だから、政治的な部分も含めて一筋縄ではいかないんだよ。

災害時は特に正しい情報を得ることが大事

ロシア・ウクライナ紛争でも注目されているけど、その根底には各国によるエネルギーや資源を巡る争いがある。国際的なマフィアみたいな連中も一枚かんでたりするからね。利権や政治問題もあると思うけど、なによりも安定供給ということを第一に考えてシステムを構築するべきだよ。

防災に関していうと、個人で停電に備えるというのは難しい。ガスや水道が止まってもなんとかなるけど、電気は替えが利かない。

最近は個人用の発電機も普及してきているし、電気自動車を使って家庭用電源を賄うという方法もある。ウチにもEV車があって、たぶん非常時には電源になるはずなんだけど、まだその機能を使ったことがない。使い方が分からずマニュアルを参照しようと思っても、最近はネットに上がっていたりするから、スマホの充電がなかったら検索もできない…となるかもしれない。

災害時に重要なのは正しい情報を得ること。公共施設でスマホの充電ができるような発電機を置いておくべきだね。あと、スポーツジムにあるエアロバイクとかに発電機能をつけておくのはどうかな。公園にもそんな発電機を置いて、若者たちに普段から漕いでもらって蓄電しておくとかね。

発電所は完全復旧せずに、3月22日には「電流需給ひっ迫警報」が出された。こういった電気不足は、日頃の節電を心がけつつ、いざという時の備えをしておきたいね。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

あわせて読みたい