
漫才ブームの頃、美空ひばりさんのモノマネだけを競う特番があったんです。美空さんのモノマネが得意な参加者が披露し、最後にご本人が登場する番組です。そこにB&Bもゲスト審査員として呼ばれました。
テレビ番組の収録では、スタジオの前に前室という場所があり、そこで待機したり、他の芸能人と話したりする。
前室で待っていると現れたのが美空ひばりさん。しかも、自身のバンドメンバー約15人を引き連れてですよ。間近で見る美空さんはものすごく美人で、なんとも言えない雰囲気をまとっている。やはり、あれだけのスターが登場すると場の雰囲気は一変しますね。
他の出演者はシーンと静まり返った。俺らも黙っていたら、ポンポンと後ろから肩を叩かれ、振り向くと美空さんでした。「あなたたち売れているわね。芸能界で売れるのはほんの一部なのよ。苦労したでしょ? お父さんもお母さんも喜んでいるでしょ」と。まさかお会いできるとは思いもしなかったので「はい」としか答えられないですよ。それから「大阪から通っているの?」と聞かれたので「もう東京に住んでいます」。すると「そうよね。お昼の番組の司会をやっているもんね」と『笑ってる場合ですよ!』を知っていてくれたみたいです。
そして、「大阪は食べ物美味しいもんね」「なんでもそろっているのは東京です」「東京はそれなりに高いの。大阪と北海道は量が多くて安いわね」。そういう雑談を5分くらいしたのを今でもはっきりと覚えていますね。美空さんは幼い頃から全国各地へ行ったことがあるからよくご存じなんです。
急いで公衆電話から母ちゃんに電話
スタッフから「B&Bさんの出番は30分後です」。そう声を掛けられたので、急いで公衆電話へ向かいました。広島の母ちゃんに電話をするためです。母ちゃんは、料理屋で三味線を弾いたり、歌を歌っていて美空さんの大ファンだった。しかも、歌はものすごくうまかった。一度、『オールスター家族対抗歌合戦』に出演した時に、小林幸子さんから「お母さん上手ね。歌手になれば」とお褒めの言葉を頂いたほどなんです。
それ以来、母ちゃんは「美空ひばりさんより私のほうがうまい」が口癖でしたね(笑)。母ちゃんに電話で美空さんと話したことを伝えると「美空さんに電話を代わって」。「代われるか(笑)。ここから美空さんがいる部屋まで100メートルはあるし、もし横にいても代われるわけないやろ」とツッコミましたよ。
電話を終えて前室へ戻ると、美空さんは本を読みながら『悲しい酒』と『お祭りマンボ』のメロディーだけを口ずさんでいた。「うわっ、本物や」。相方の洋八にシーッと合図をして聴き入っていましたね。他の出演者やスタッフもみんな黙って聴いていた。
番組収録が終わり、「お疲れさまでした」と美空さんに挨拶すると、「頑張ってね。親孝行するのよ」とあの独特な声で言われましたね。また急いで母ちゃんに電話しましたよ。「あんただけ良いね。美空さんを見れたうえに喋れて…」と母ちゃんが羨ましがるので、「親孝行するのよと言われた」と美空さんの言葉をそのまま伝えると、「親孝行するなら、金を送れ(笑)」と冗談で返されましたよ。
島田洋七
1950年広島県生まれ。漫才コンビ『B&B』として80年代の漫才ブームの先駆者となる。著書『佐賀のがばいばあちゃん』は国内販売でシリーズ1000万部超。現在はタレントとしての活動の傍ら、講演・執筆活動にも精力的に取り組んでいる。
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