ロシアVSウクライナ紛争の陰で創価学会・池田大作名誉会長は今…/ジャーナリスト・山田直樹
これじゃ樋口一葉も草葉の陰で泣いている――。
年金受給者(すでにコロナ対策で非課税世帯対象の10万円給付を受けた人を除く)に対する臨時特別給付金5000円。約2600万人ほどが対象で予算は1300億円。この5000円給付に批判や疑問が噴出し、増額案など仕切り直しになったが、自公は〝血税〟をバラまく目論見である。
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なぜ、このようなバラまき給付話が出てきたのか。
「自公は今夏の参院選の選挙区で、相互推薦する、しないで昨年末以降、揉めに揉め続けてきた。公明党側、要するに支持母体の創価学会側は勝利のおぼつかない兵庫選挙区などの候補者へ自民党が推薦し応援しろと要求。しかし、公明候補を支援したばっかりに薄氷を踏む僅差で自民候補が当選に滑り込んだのが、前回の兵庫選挙区でした。とても公明党の応援などしていられない、割を食うのは自分たち、という思いがある」(政治部記者)
学会票低下の悩みを抱える公明党にすれば、複数人区で立てる候補者の当選は、自民党側の〝全力支援〟がないと厳しい事情もある。
「菅義偉前首相や二階俊博元幹事長なら早々に決着したはずなのに、岸田文雄首相-茂木敏充幹事長ラインは学会・公明党とさしたるパイプもない。だから創価学会側から公明党が突き上げられ、自民党は特に選挙区候補から悲鳴が上がって『5000円給付』で妥結したという構図です」(同)
要するに、5000円給付は選挙目当てのバラまきなのだ。
参院選目当ての“バラまき”
経済学者で社会保障専門家の鈴木亘氏(学習院大学教授)は、Webマガジン『WEDGE Infinity』でこう述べている。《実は5000円という金額は国民年金受給者にとっても厚生年金受給者にとっても多すぎず少なすぎない絶妙な金額であり、年金の目減り分を補うにすぎないため、貰う側からも、負担する側からも批判が抑えられるとの緻密な計算の上に考えられた提案なのである。しかし、臨時特別給付金は、結局は現役世代や子どもたちによる税負担を財源としており、現役世代の年金負担を軽減するという制度改正の主旨に対する挑戦であり、台無しにするものだ》一方、公明新聞には、シレっと次のような記事が載った(趣意)。
《茂木幹事長が5つの選挙区で公明党候補に推薦を出す。公明党候補を擁立しない38選挙区で、順次、公明党が自民党候補へ推薦を出す》(3月18日付)ここには公明党と自民党が候補者を立てる2つの選挙区(東京と大阪)が入っていない。だから選挙区5=公明党、38=自民党の相互支援のため、樋口一葉1枚×2600万人を2021年度予算予備費から〝流用〟しようとしたわけだ。
合意が発表された途端、SNSをはじめ、日頃は公明党や創価学会におとなしいメディアも含めて非難の大合唱状態である。ここではコロナ対策としてぶち上げられた数々の給付金の詳細は割愛するが、岸田政調会長(当時)の顔に泥を塗った世帯30万円VS国民1人10万円に始まり、つい先だっての「18歳以下10万円」まで額はどんどんしょぼくなり、給付対象も二転三転した。今回の「樋口給付」は、自民党側が持ち出したものらしいが、タイミング的にも完成度の高い〝せこさ〟が見え隠れする。
年金受給者のうち「マクロ経済スライド条項」を熟知している人が何割いるかは分からないが、大雑把に言えば、賃金や物価に連動して支給額は上下する。ただ、単純に物価・賃金とリンクする仕組みではない。①物価変動率 ②名目手取り賃金変動率 ③マクロ経済スライドによる調整率の3指標で年金額は年度毎に改定されるのだ。
新しく改定された年金給付は4月分から始まるので、実際の受け取り時期は6月15日。つまり、参院選直前となるわけだ。
知己の年金プランナーに尋ねると、
「昨年末からエネルギー価格が急上昇して、物価の大幅値上げは急激です。賃金変動率がどうなるか。自動車や電機は春闘で満額回答ですからね。しかし、マクロ調整は本来しなければならないから、未調整として残り、翌年度以降に繰り越す仕組みになっている。だから6月にぬか喜びしても、来年度の年金支給額が今年度分のキャリーオーバーで減額されるのは確実」
自民党には高齢者に不快な政策を打ち出せば、参院選大敗というジレンマがある。後期高齢者医療制度導入や年金記録問題が表面化した2007年参院選でボロ負けした例もある。
「加えて、公明党=創価学会にソッポを向かれたらお終いという危機感から5000円給付案を出したんでしょう」(前出・政治部記者)
駐日露大使は創価大学留学生
一方で、「5000円給付よりウクライナ、自国の防衛をどうするかが公明党の課題」と、最もな意見を口にする創価学会員も少なからず存在する。「世界平和こそ池田(大作)先生の至高の目標ですよ。せめて創価学会インタナショナル会長の立場で声明を出すとか、他の宗教団体に呼びかけることぐらい、すべきじゃないですか」(ある都内の古参学会員)
確かに、ロシアによるウクライナ侵攻に多くの著名宗教者が批判の声を上げている。プーチン大統領の支持基盤であるロシア正教会の司祭ら286名が署名に賛同して「ウクライナへの軍事侵攻即時停止」の公開書簡を発表した。まさに命懸けの抵抗である。
池田大作名誉会長はソ連時代の1975年5月に授与されたモスクワ大学からの「名誉博士号」を皮切りに、2014年11月の「ロシア民族友好大学の名誉博士号」まで、実に20以上の学術称号を贈られているのだ。
2014年といえば、ウクライナの地で大統領のロシア亡命→クリミア独立(ロシアによる併合)→2共和国建国という事態が起きており、米・バイデン大統領が副大統領として初訪問した年でもある。NATO加盟の国民投票が約束され、翌年には共同軍事演習が行われた。こんな時期に、池田氏がロシアの大学から称号をいただく感覚自体、日本人離れしている?
しかも、池田氏はウクライナからも「教育功労賞」(教育科学省より)、「内閣栄誉賞」、「栄誉賞」(ウクライナ最高会議より)が2000~2003年の間に贈られているのだ。
日本国内に目を転じれば、創価大学にはロシアセンターが設置されているし(国内初)、最近、過激なロシア宣伝の伝道者として、とみに話題となる6代目駐日ロシア大使のミハイル・ガルージン氏は1982~1983年の間、創価大学へ留学生として在籍している。ガルージン大使はモスクワ大学の出身者だが、池田氏は先の博士号に加えて、同大学から「名誉教授号」も2002年6月に受けている。
そんなガルージン大使の以下のようなセリフが聖教新聞に記録されている。
《あの時の経験があったから今の自分があります。留学中、創立者の池田先生に度重なる激励をいただいたことは、忘れません》ガルージン大使は創価大学留学後、ロシア外務省駐日大使館スタッフとなり現在に至っている。父親も駐日大使館に勤務していたという知日派だ。大使に慕われている池田氏が、ウクライナ問題の解決に日本の民間外交として一肌脱ぐのなら、今をおいて他にない。
しかも、旧ソ連から「平和の戦士賞」(1991年8月)までいただいている池田氏は、筋金入りのロシア通と言っていい。さらに付け加えるなら、中国からの学術称号等の数において、ロシアをはるかに上回る実績を持つのが池田氏である。
「そういうことを知らないのが、一般会員なんですよ。今年は日中国交回復50周年で池田氏自身にとって、これが最も高い業績を上げたことに違いないです。ロシア、ウクライナ、そして中国に顔が利く宗教家は、世界的に見てもそうはいない。先生のご体調があるなら、書簡でもいい。メッセージを出すことの方が、はるかに選挙で高得票を得られると思うんですが…」(前出・古参学会員)
先生の出番だ。
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