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『メガネハギ&カワハギ』東京都八丈島/八重根産〜日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

強風と波浪のため、漁港内の奥で竿を出さざるを得なかった八丈島の夜釣り。一夜明け、朝目覚めてみると昨夜の風はかなりおさまり、よい天気。

これなら外洋に面した桟橋で竿が出せそうです。はやる気持ちを抑えつつ、期待を胸に朝の八重根桟橋へとレンタカーを走らせます。

ところで、八丈島や大島など伊豆諸島で釣りをする際は、レンタカーも〝釣り専用車〟でなければならず、この釣り専用車というのが、たいがいオンボロの軽ワンボックス。もちろんパワーウインドウなどではなく、クルクルと手動で開閉する窓だったり、開けるたびにギシギシうるさいリアハッチだったり、そのオンボロ具合もなかなかです。でも、あくまで目的は釣りですし、これがまた味があっていいものなんですね。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

さて、八重根桟橋に着いてみると若干のウネリは残っているものの、危険なく竿が出せそうな雰囲気です。バキンッ! と開けるたびに異音がするリアハッチを開け、釣具を降ろし、気が急いているためか、早足で釣友とともに桟橋へと歩を進めると、桟橋右側一帯にはチラホラと先客の姿があります。出遅れたかと、先端に目をやると左の一段高いスペースが空いている様子。どちらかというと右側一帯が潮表、左側は潮裏となる桟橋ですが、先端であれば何かしら面白い魚が釣れるはず、と2人で釣座を構えることにしました。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「もっと南国らしいヤツを…」

潮通し抜群の桟橋先端ゆえカンパチやヒラマサなどの大物実績も十分。で、す、が、もう、早く入れたくて入れたくて(仕掛けを)たまらない堪え性のないワタクシは、市販の胴突仕掛けを手早くセット。エサのアオイソメをハリに付けたら投げるのももどかしく、足下にドボンと投入します。早く魚の手応えを味わいた~いっ! ハアハアっ…。

カツッ! すぐにアタリが訪れ、ほどよい手応えで釣れたのはササノハベラ。「せっかくの桟橋先端なんだから、もっと面白い魚釣れんか~いっ!」とササノハベラを逃がして仕掛けを再投入。すぐにコツコツッ! のアタリで竿を煽ると、ちょっといい引きで今度は良型のカワハギがハリ掛かりです。カワハギといえば、専門の釣り船も出るほどの人気ターゲット。嬉しいには違いありませんが、「う~ん、普段の釣りなら嬉しいけど、もっと南の島らしい魚が欲しいのよね」といったところでしょうか。でも、美味しいから血抜きを施してキープです。

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「もっと南国らしいヤツを…」とササノハベラの入れ食いにやや辟易しつつ、投入を繰り返すことしばし。ガツガツッ! と〝品のないアタリ〟が伝わりました。反射的に竿を煽ると、鋭く力強い手応えです。「やっと何か違うヤツが来てくれたか?」と手応えを楽しみながら巻き上げた仕掛けに付いていたのは、黒っぽくカワハギのようなシルエット…。モンガラカワハギ科のメガネハギでした。「そうよ! こういう南国らしい魚が欲しかったのよ」 一般的な釣り人目線でいえば、明らかにカワハギのほうが嬉しい魚ではありましょうが、せっかく南の離島に来たのですから、やはり〝それらしい魚〟がうれしいものなんです(個人的見解)。

メガネハギ
メガネハギ (C)週刊実話Web

旨味の濃い白身のカワハギ

今回は、人気魚のカワハギとマイナー魚のメガネハギという2種類が釣れたので、両方を煮付けにして食べ比べつつ晩酌を楽しみたいと思います。

まずは、普通にカワハギの皮を剥いで下ごしらえ。次いでメガネハギ。モンガラカワハギ科の魚は、鎧のようなブ厚い皮ゆえに包丁が入りません。そこで活躍するのがキッチンバサミ。肛門からハサミを入れて、ザクザクと切り進めて皮を剥ぎます。皮を剥ぎ終えて並べてみると、似た魚ながら身の色にはだいぶ差があり、メガネハギはかなり筋肉質。ヒキが強いのも頷けます。

煮付け
煮付け (C)週刊実話Web

さて、できあがってカワハギを一口…。しっとりとした肉質は上品で、旨味の濃い白身はさすが高級人気魚。文句ナシに美味です。そしてメガネハギ。カワハギと比べて筋肉質な身は少々硬く、旨味もカワハギほどには感じません。やはり味ではカワハギに敵わぬか…。とはいえ、決してまずいわけではなく、クセのない白身らしい風味の煮魚は総菜魚としては十分な及第点かと。

ということで、南の島らしい魚が釣れて楽しみなスタートとなった今回。この後、隣の釣友に南の島らしい大物がヒットしたのですが、このお話はまた次回。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

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