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山健組トップが神戸山口組・井上邦雄組長に「法的措置」目的は“資金源凍結”か

山健組・中田浩司組長 (C)週刊実話 無断転載厳禁

3月8日付の訴状には《原告 中田浩司》《被告 井上邦雄》とあり、かつて親分と子分の関係にあった2人による〝骨肉の争い〟の幕開けが見てとれた。

昨年末、五代目山健組本部のそばにある倉庫などの入った建物と、「山健会館」と呼ばれる関連施設に対して、神戸地裁に中田組長の所有とする不動産所有権移転登記手続きが請求されていた。今回、新たに兵庫県神戸市内にある神戸山口組・井上邦雄組長の自宅に対しても、中田組長によって同様の民事訴訟が起こされていることが判明したのだ。

平成17年に五代目山口組・渡辺芳則組長が退任するにあたって、別邸として利用してもらうために、《当時の構成員が各自財産を拠出して取得し、自らと切り離した財産として山健組に帰属させた不動産》だとし、《山健組の構成員全員によって『総有』される》と主張。実態は山健組が取得したものであり、四代目山健組組長を退任した井上組長は、登記名義人となる立場を喪失し、五代目を襲名した中田組長がこの地位にあるとの訴えが書かれていた。

また、山健組が神戸山口組を脱退した令和2年7月ごろ、井上組長は中田組長に対して「戻ってきてもらいたい」との気持ちを持っていたが、六代目山口組に復帰するや《関係は一気に悪化》したという。

訴訟にあたり、中田組長に一切の権限を付与するという山健組全直参の「同意書」も添えられていた。日付は昨年12月で、「山健会館」などを巡る訴訟とともに、今回の訴訟も含めて数カ月前から予定されていたことが分かる。

井上組長が住居を失う事態も

本誌・週刊実話のインタビュー(昨年11月11日号)でも、山健組最高幹部が関連施設について「実際に売却の話が出ていた」と話しており、井上組長側との金銭分配に関するデリケートな問題も明かしていた。

ある捜査関係者は、中田組長が訴訟を起こした目的について、こう分析する。

「関連施設に関しては、関係悪化を受けて、向こうが勝手に売却できないようにするため、訴訟に踏み切ったとみている。ただ井上組長宅に関しては現在も住んでいるはずで、まだ売却の話など聞こえていなかった。もし、中田組長の主張が認められれば、井上組長は住居を失うことになる。訴訟の狙いは、あっち側の〝資金源凍結〟ではないか」

しかし、一連の訴訟は、あくまで「ヤクザ社会での言い分」とも話す。

「不動産の所有権が、その組織トップにあるべきというのは、ヤクザ内での共通認識であっても、一般社会では書類による手続きがなされないと、法的に認められない。今回の訴訟は、売却を阻止するための一時的な措置だと思うが」(同)

井上組長宅を巡る神戸地裁での民事裁判の第1回口頭弁論は、5月27日に予定されている。

この訴訟の関連書面には、達筆ながらも一字一字、丁寧に記したであろう中田組長の署名もあった。

神戸山口組を脱退した際、「若い衆は宝」として、親分よりも山健組の子分を選んだ中田組長。その胸中が、署名からも伝わってくるようだった。

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