『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』
監督/トム・ドナヒュー
出演/マリオン・ドハティ、マーティン・スコセッシ、ロバート・デ・ニーロ、ウディ・アレン、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマン、アル・パチーノ、メル・ギブソン、ジョン・トラボルタ、グレン・クローズ
配給/テレビマンユニオン
お仕事お疲れ様です! 映画好きの人は特に、「主演の俳優はイメージがピッタリだったなぁ~」「あの人、ちょっと浮いてなかった?」など、それぞれ心の中で自由に考えますよね。〝ドキュメンタリー映画愛〟が止まらない私は今回、『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』に注目!
映画製作において、主演俳優から、主人公がワンシーンで訪れるバーのバーテンダーやお客までもキャスティングしなければいけない。この、配役を担当する〝キャスティング・ディレクター〟は責任重大です。マーティン・スコセッシ監督はキャスティングで映画の9割以上が決まると言い切ります。出来上がった作品がヒットしなかったり、俳優の評判がイマイチだと悩んでしまうのはキャスティング担当。でも、逆に抜群のセンスで俳優を〝ちゃんと見極める〟ことができれば、ハリウッドスターを生み出せるのです。
多くのスターの人生を変えた女性
キャスティング・ディレクターのマリオン・ドハティさんは、まさに自分の心を信じ、見るセンスのある人でした。アメリカではその昔、1回アクションをやってそれがハマれば、またアクションの役が与えられる。でも、マリオンはたとえ俳優がオーディションで才能を発揮できなくても、その可能性を見る目があった。配役のことで反対をされても、彼女は流されなかった。その結果、マリオンは、歴史に名を刻む大きな成功を収めるのです。
マリオンのほか、彼女の後にキャスティング・ディレクターになった方や、クリント・イーストウッド、ベット・ミドラー、ロバート・デ・ニーロ、ウディ・アレンなどが証言するのですが、心の底からの感謝を感じ取ることができます。残念ながら2011年にマリオンは亡くなっていますが、ハリウッドスターの彼女へのエンドロールでの言葉に泣けます。多くのスターの人生を変えた。みんなが知っているスーパースターの第一歩をたくさん知ることができ、さらに映画を好きになります。
時代もあってか、女性のキャスティング・ディレクターはクレジットされなかった。一番大変な仕事をしているのに、誰かのアシスタントだと思われていたそう…。今年の3月8日、国際女性デーがあったばかり。マリオンは、間違いなく映画業界での女性の立場を強くしましたが、それでもまだ認められていない部分もあります。映画愛、そして強く自分を信じる勇気は、どんな仕事にも置き換えられます。
LiLiCo
映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS『王様のブランチ』、CX『ノンストップ』などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。
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