阪神の〝眠れる虎〟こと藤浪晋太郎が開幕投手に決定した。
2年連続二度目の栄誉だが、もともと開幕投手に決まっていた青柳晃洋の新型コロナウイルス感染が発覚したため。矢野燿大監督の決断はどう出るか?
「矢野監督が二軍を指揮していた2018年は、青柳にとっても分岐点となりました。一軍昇格できず腐りかけていたとき、弱点克服の手助けをしてもらいました。青柳は『矢野監督のために』との思いを強く持っていました」(関係者)
藤浪はその青柳の抜けた穴を埋めることになるのだが、それだけでなく大飛躍のシーズンとなりそうだ。
「今、一番速くて重いボールを投げているのは藤浪。今年は相当手ごわい」(他球団スコアラー)
〝要注意〟の言葉は複数球団から聞かれた。
開幕投手が告げられた18日のオリックス戦でのこと。藤浪は5イニングを投げ、失点2。物足りない数字に見えるが、ライバル球団が着目したのは投球内容。97球を投じて、約半分が変化球だったのだ。しかも110キロ台のスローカーブも交ぜており、緩急の差は約50キロにも達していた。
「去年まではボールが先行すると、真っすぐしか投げられなくなってしまいました。それが、四球に動じることもなくなった」(同)
指南役は敵チームのエース
復調のきっかけを与えたのは、巨人・菅野智之で間違いないだろう。宿敵チームのエースに頭を下げて自主トレに同行したが、これには賛否両論があった。
「矢野監督も内心では面白くなかったはず。他コーチも同様です」(在阪記者)
だが、指南役に菅野を選んだ選球眼は間違っていなかった。菅野は同じスライダー投手で、その得意球を生かす投球術も知っている。それらを取得するために必要なトレーニングを伝授されたのだから、本当に〝自信〟を持ったのだろう。
「藤浪は2016年に懲罰的意味合いで1試合に161球を投げさせられました。普通の投手なら肩か肘を壊してしまうでしょう。頑丈な体、強靱なスタミナを持つ、投手タイトルの有力候補です」(前出・スコアラー)
最多勝、最優秀防御率、最高勝率の投手三冠も夢ではない。藤浪がローテーションの主軸となれば、阪神優勝の確率もグッと上がる。そうなれば、MVPの可能性も出てくるし、完投能力の高さからして、沢村賞の同時受賞だって考えられる。
復活と飛躍――。しかし、矢野監督は退任と同時にこう言われるだろう。
今まで何を教えていたんだ、と…。
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