3月27日に千秋楽を迎える大相撲春場所(大阪・エディオンアリーナ大阪)は、序盤から大荒れとなった。その極め付きは、本誌先週号で『ひそかに囁かれる引退秒読み』と報じた一人横綱、照ノ富士の途中休場だ。
場所前から古傷の左かかとや膝の状態が思わしくなかった照ノ富士は、案の定、引退直前の力士のように下半身の踏ん張りがきかず苦戦の連続。ついに5日目、玉鷲の強烈な突っ張りをモロに浴びて、お尻から土俵下に転げ落ちた。
早くも2つ目の黒星を喫したことで、その夜、師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)に「これ以上、土俵に上がるのは無理です」と休場を申し出た。
照ノ富士の休場は横綱になって初めて。提出された診断書には「右踵骨骨挫傷、左変形性膝関節症により約1カ月の加療を要する見込み」と書かれていた。
「ジッとしていても膝に痛みがある状態のようです。引退の申し出でなくて幸いでした」(関係者)
散り際の美を大事にする!?
伊勢ケ浜親方も憂色を隠せない。
「そういうこと(休場の申し出)を自分から言ってくる子じゃない。よほど(膝の状態が)きついんじゃないか。私から見たら、あの怪我で普通に相撲を取っていること自体が大変なこと。ここで無理をしたら、もっとひどいことになる」
とはいえ、1カ月程度の加療で照ノ富士の膝やかかとの痛みがきれいに消え、元の状態に戻るのか。昨年の秋場所後、引退した白鵬(現・間垣親方)も右膝を痛め、懸命の治療を施したが完治しなかった。
そこで、気になるのが照ノ富士の今後だ。白鵬は最後の3年余り休場と出場を繰り返し、最後はファンに愛想を尽かされた。
照ノ富士も完治が厳しいとなると、モンゴル出身の先輩横綱たちのように見栄も外聞も投げ捨てて、ひたすら延命に走るか、それとも散り際の美を大事にするか。
次の夏場所の初日は5月8日。ぐずぐずしている時間はない。
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