近年は電子書籍の普及や活字離れで、書籍の販売が頭打ちとなっていた。国内の書店数は2020年時点で約1万1000店となり、1999年に比べると半減している。ところが、今年は新型コロナの感染拡大による巣ごもり需要で、街の書店に特需が生まれている。
帝国データバンクによると、19年の書店市場(事業者売上高ベース)は1兆2186億円で、3年連続の減少となり厳しい業況が続いていた。しかし、全国の学校で休校措置がなされ、学習参考書や学習ドリル、児童書や絵本の売り上げが急増した。
「緊急事態宣言が発令された4月から子供用の雑誌やコミックが飛ぶように売れて、まさにコロナ特需に沸いています」(大手書店)
また、今年は社会現象となった漫画『鬼滅の刃』の大ヒットで、コミックや書籍、関連グッズの品切れが相次ぐ事態となった。この状況が続けば、20年の書店市場は4年ぶりの売上拡大が見えてくる。
『鬼滅の刃』が“たった23巻”で終わった理由とは…
中高年も魅了する『鬼滅の刃』は、原作の連載終了後もアニメや劇場映画で人気に火がつき、ファンが増え続けている。版元の集英社は、12月4日に発売された『鬼滅の刃』コミック最終23巻の初版発行部数が、395万部になると発表。コミック累計発行部数は、異例の1億2000万部(電子版を含む)を突破する見込みだ。
作者の吾峠呼世晴氏が、物語のエンディングに加筆した14ページを追加しており、フィギュア付きの同梱版には予約が殺到していた。ファンは「23巻で終わらないでほしい」と切望するが、それには理由があるという。
「担当編集が、地方に住んでいた女性作家の吾峠氏を東京に呼び寄せ、『缶詰』にして作品を書かせていました。しかし、いいかげんに帰らせてくれという作家の意向で、当初の予定より短い23巻で終わってしまったのです」(出版関係者)
今のところ続編の予定はないが、鬼滅ブームはまだ続きそう。何はともあれ、果たして来年も何か業績をけん引する〝事象〟は起きるだろうか。
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