第3次サウナブームで“サウナの聖地”が大盛況~企業経済深層レポート
近年はサウナ人気が再燃し、第3次ブームと言われている。その背景を経営コンサルタントが分析する。
「日本サウナ・温冷浴総合研究所(日本サウナ総研)が、3月7日の『サウナの日』に合わせて公表した最新統計では、2021年度のサウナ愛好家の推定人口は前年から1010万人ほど減った。最大の要因はコロナ禍だが、それでも約1600万人ものサウナ人口がいるというから、数年前から続く第3次サウナブームは今も続いているとみられます」
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昨年はサウナと水風呂、または外気浴を交互に行う「温冷交代浴」により、リラックス状態を得られることを示す「ととのう」というフレーズが流行し、毎年恒例の『ユーキャン新語・流行語大賞』にもノミネートされた。
また、3密を避けられる個室サウナは、1回4000円~5000円と高額にもかかわらず予約が取りにくい状況が続いており、有名サウナは全国から愛好家が訪れ根強い人気がある。
「コロナが鎮静化すれば、さらなるブームの大爆発が起こる下地が十分に整っています」(同)
ところで、今が第3次ブームというからには、過去2回のブームはいつのことか。熟年のサウナー(サウナ愛好家)が語る。
「1964年の東京五輪で選手村にサウナが設置され、それが評判となって全国的にサウナが拡大したのが第1次ブームです。90年代のバブル期には、派手な温泉施設や遊び場にサウナが併設され、第2次ブームが起きました」
女性タレント愛好家で勢い付いたか
では、第3次ブームが発生したきっかけは何か。「16年ごろからサ活(サウナ活動)やサ旅(全国各地のサウナ施設を巡る旅)と称し、サウナを楽しむ人々が急増。また、その活動がSNSで拡散されたことに加え、タナカカツキの漫画『マンガ サ道』が、19年に原田泰造主演でテレビドラマ化されたことで、第3次ブームに火がつきました」(サウナ研究家)
SNSやドラマでサウナ人気が拡大したことにより、従来の中高年男性のほか、新たに若者や女性のサウナーも出現した。
サウナブームは芸能界へも飛び火。天海祐希や北川景子、壇蜜などの女性タレントが、次々にサウナ好きを披歴すると、一般女性にもサウナ愛好家が急増し、ブームに拍車がかかった。
では、老若男女に人気の〝サウナ聖地〟をいくつか紹介しよう。
埼玉県草加市の『草加健康センター』は、4種類の「ロウリュ」を利用できる。ロウリュとはサウナ発祥地のフィンランドで「蒸気」を意味する。同国のサウナ入浴方法にならい、熱したサウナ石に水をかけて水蒸気を発生させ、蒸気浴で発汗作用を促す仕組みだ。
4種のロウリュの中でも特に「爆風ロウリュ」は、風速80メートルの熱波が送られてくると人気だ。サウナ後には、常時15度にキープされた地下水をくみ上げた水風呂に入る。全国を「サ旅」するサウナ歴10年のサウナーが言う。
「サウナを楽しむ作法は、まずサウナに入り、その後に水風呂、外気浴での休憩と、3つの所作をワンセットにする。その時間配分は4対1対5の比率が良いとされ、これを3回繰り返せば最高のリラックス効果、いわゆる『ととのう』境地に至れるのです」
各種もてなしで、しっかり「ととのう」
都内では、上野にある男性専用の『サウナ&カプセルホテル北欧』に注目が集まる。ドラマ『サ道』のロケ地としてたびたび登場し、一躍その名を全国に轟かせて第3次サウナブームの火付け役となった。『北欧』のサウナは20人ほど収容可能な広さで、室内温度は100~110度。サウナ後の水風呂の水温は、およそ14~15度に設定されているが、数字以上の冷たさ。都会の空を眺めながら、外気浴でしっかり「ととのう」ことができるという。
熊本県熊本市にある『湯らっくす』は〝西のサウナ聖地〟と称される。男女浴室に、それぞれサウナ室が3つある。最もオーソドックスなサウナが、収容人数30人の超大型「アウフグースサウナ」だ。
「アウフグース」とは、サウナで発生した蒸気を施設スタッフがタオルであおぎ、入浴者に熱風を送るサービスのこと。
「圧巻は日本一深い水風呂で、最深部は男性171センチ、女性153センチ。阿蘇の伏流水をふんだんに使用した水風呂が、全国のサウナーをとりこにしています」(同)
そして、ラストを飾るのは静岡県静岡市の『サウナしきじ』で、110度の「フィンランドサウナ」で名高い。
「このサウナは水風呂の水質の良さが売りで、安倍川水系の天然地下水は、ミネラル豊富な軟水。その水がサウナ後の体を癒やしてくれると評判を呼び、芸能人も数多く訪れます」(同)
しかし、いずれにしてもブームの一方で、コロナ禍での営業が厳しいのは事実。そのため、閉鎖に追い込まれるサウナも後を絶たない。
当面、サウナ経営者は第3次ブームとコロナ禍を両にらみしながら、巧みにサウナーの心理をつかんで、舵取りをしていかなければならない。
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