スポーツ

新庄ビッグボス“化けの皮”を剥ぐ!楽天が野村ID一番弟子を招請へ

新庄剛志 
新庄剛志 (C)週刊実話Web

東北楽天が〝ビッグボス〟新庄剛志監督を熟知する男を「チーム戦略室」に迎え、事実上の〝監督二刀流〟に着手。

常識が通じない「新庄日本ハム」に対処するのが狙いで、石井一久監督と連携して「野村ID野球の系譜」を語るビッグボスの化けの皮を剥ぐ――。

「今季の日本ハムは、今も誰がレギュラーか、打順や守備位置も分からない。AI(人工知能)を使ったデータ分析もゼロベースに戻さざるを得ず、あらゆる面で見る者に『?』と思わせる」(パ球団・戦略担当者)

開幕を1週間後に控え、日本ハム戦を不安視する声が上がっている。FAの権利を持つ西川遥輝(現楽天)、大田泰示(現横浜)、秋吉亮(現独立リーグ福井)を「ノンテンダー」という名目で放逐し、一、二軍の垣根を撤廃。入団4年目でプロ通算5本塁打の万波中正を4番に重用する一方、守備に課題を持つ清宮幸太郎を一塁から左翼にコンバート。関係者すら「ありえない采配」で驚かせている。

近年、パ・リーグが勝るのは選手個々の能力もあるが、データを統計的に分析するAIが作戦の成功確率を算出してきたことも見逃せない。今季の巨人がオープン戦で最下位に低迷していることが如実に物語る。

「特にIT企業のソフトバンクと楽天は、この分野のエキスパート。だが、新庄剛志監督は、思いつきというか根拠のない作戦ばかり。戦力不足でハナから優勝する気がないからできる戦術だろうが、相手の球団はたまったものじゃない」(スポーツ紙デスク)

そこで、三木谷浩史オーナーが指令したのが、「インテリジェンス部門」の見直しと強化だ。新庄監督の作戦がデータで読み解けないのであれば、「彼の性格や行動に精通した人物を呼べ」と――。

白羽の矢が立ったのが、ヤクルト元監督の古田敦也氏だ。新庄監督とはチームは違うが、同じ1989年入団。突飛な性格を熟知している。

「同門」ながら“犬猿”の仲…

古田氏はヤクルト監督時代の野村克也氏の薫陶を受け、新庄氏もまた阪神監督時代の野村氏にID野球を学んだ、いわば「同門」。しかし、目指す野球は対極で、ゲータを統計的に分析する古田氏に対し、新庄氏は〝だまし合い派〟。ともに流れを受け継ぐものの、古田氏には「野村ID野球の正統後継者は自分」との自負があり、ゲリラ的な新庄監督とは犬猿の仲なのだ。

とりわけ「優勝は目指さない」、「新人も含め全選手を交代で一軍試合に使う」と宣言したことに、労組プロ野球選手会会長も務めた古田氏は真っ向から反発。「優勝しなければ、年俸は上がらない」、「選手の価値を一方的に下げるものだ。喜ぶのは相手チームだけ」と、今季の優勝予想では強い信念を持って日本ハムを最下位に切り捨てた。

一方、三木谷氏が力を込めるのが、本社の頭脳でベンチを支える「チーム統括本部チーム戦略室」。オーナー直轄の組織で、楽天グループで通販や金融のデータ解析を手掛けるブレーンストーム集団だ。

石井一久監督と古田氏は、野村ヤクルト時代にバッテリーを組み、黄金時代を築いた仲。気心は通じており、データに古田氏の人的分析を加えることで、AIでは予測が困難な新庄野球への対処が可能となる。

「試合中のベンチに立たされ、野村監督から説教されながら野球を学んだ古田氏にすれば、現役引退後、悠々自適に生きてきた人にかき回されたくないという思いがあるのでしょう。球界の秩序を保つためなら、バックヤードから支える〝黒衣〟でもいいと。これで長年、楽天が抱えてきた指揮権の複雑な構造も解決します」(東北楽天関係者)

楽天ベンチにはさまざまなデータが戦略室から送られ、采配に反映させてきた。しかし、監督が決めたオーダーも三木谷氏のメール1本で変更させられることが何度もあった。従わなければ、クビ。チーム戦略室が本格始動した18年以降、梨田昌孝、平石洋介、三木肇、石井一久と監督が毎年交代した一因はここにある。

情報を調整できる人物の必要性

「石井監督が続投できたのは、兼任するGM職に関心があるため、監督業はイエスマンに努めたから。しかし、常識が通じない監督が現れ歪みが生じた。それを察知した三木谷氏は、石井監督と戦略室の間に情報を調整できる人物の必要性を痛感し、その役には古田氏がいいと。うまく機能すれば、次期監督への布石にもなる」(スポーツ紙デスク)

楽天のチーム総年俸はソフトバンク、巨人に次いで3位。特に去年はアメリカのメジャーリーグで活躍していた田中将大を年俸9億円で8年ぶりに古巣復帰させながら、オリックス、ロッテの後塵を拝した。

しかし、田中、則本昂大、岸孝之、早川隆久、松井裕樹らを擁する投手陣はリーグトップクラス。新庄ハムの混乱に巻き込まれなければ、優勝も狙える。

「楽天はこれまで〝勝負の時期〟を迎えるたびに、野村氏、星野仙一氏など大物監督を招聘してきた。その系譜を辿るなら、次期監督は古田氏と落合博満氏が最有力。どちらにも可能性があるが、新庄監督の出現により、図らずも古田氏への禅譲に移行しているのかも」(同)

「ノーヒットで1点を取る野球」を掲げて快進撃を続ける新庄日本ハムも、真の姿は、派手なパフォーマンスに身を包んだシンプルな野村スタイルのスモールベースボール。だが、これも古田氏はしっかり真髄を見抜いている。

開幕後のこのカードは、楽天のワンサイド勝利となるか?

あわせて読みたい