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蝶野正洋『黒の履歴書』~大物OBも集結した新日本プロレス50周年セレモニー

蝶野正洋 
蝶野正洋 (C)週刊実話Web

新日本プロレスが創立50周年を迎え、その記念興行「旗揚げ記念日」が日本武道館で行われた。俺はゲスト解説者として参加させてもらったんだけど、歴代OBたちが集まって記念セレモニーが行われて、リング上は壮観だった。

俺の先輩だけでも、坂口征二さん、北沢幹之さん、藤波辰爾さん、藤原喜明さん、長州力さん、前田日明さん、小林邦昭さん、木村健悟さん、越中詩郎さん、レフェリーのタイガー服部さん…。

さらに武藤敬司に獣神サンダー・ライガーまで駆けつけて、ここまでそろう機会はなかなかない。

過去にいろいろあった人たちもいるし、一時は新日本プロレスとの関係が悪くなった人もいるけど、こうして集まれたというだけで何よりだと思うよ。

セレモニーではOB代表としてまず坂口さんがマイクを握り、続いて現役代表としてオカダ・カズチカ選手が挨拶したけど、オカダ選手のマイクが上手いというか、聞きやすいんだよ。坂口さんは昔からだけど、何言ってるか分からない(笑)。新日本プロレスがこの50年で一番進化したのはマイクの鮮明さかもしれないね。

最後に記念撮影をすることになって、みんなでリングに上がったんだけど、それぞれの立ち位置が決められてなくてね。前列にイスがいくつか並んでたんだけど、全員は座れない。俺は先輩を差し置いて座るわけにはいかないなと思って横のほうに立ってたんだけど、さすが武藤敬司。当たり前のようにイスにどっかり腰掛けていた。前田さんとか小林さんは後ろで立ってるのに…。ああいうところがトンパチだと思ったね(笑)。

みんな業界のどこかで頑張ってる

試合後の会見では長州さんが「もっとこの業界とは距離を空けたいなと思ってる」とコメントして、一部で物議を醸した。でも、そんなこと言いながらこういうセレモニーに出席してくれて、どこかの運営団体に絡んだりしてるのが長州さん。まだまだプロレス界に関わってくれると思うよ。

それと前田さんが「残念なのが、新日本が作りあげてた世界のどこにもないオリジナルの日本スタイルっていうのが絶えちゃいました」と発言したのも話題になった。これは、あの時にリングに上がった旧・新日本プロレスのレスラーたちはみんな感じていることだと思う。今と昔のどっちが優れているか、ということじゃない。今の選手たちも凄い試合をやっているし、お客さんの支持を集めているからね。前田さんは自分たちがやっていたプロレスとは違うものになっている、ということが言いたかったんじゃないかな。

旧・新日本プロレスを知っている人は、どんどん少なくなっている。会社のスタッフも、俺がいた頃から在籍している人なんて数えるほどしかいない。それも窓際族の端っこで、もう窓から出ちゃってるんじゃないかってくらいの位置でなんとか生き残ってる(笑)。

ただ、新日本プロレスを辞めた人も、業界のどこかで頑張ってるからね。いまプロレスリング・ノアを運営しているサイバーファイト取締役の武田(有弘)君も、もともと新日本プロレス出身。いま武藤さんはノア所属だし、最近だと藤田和之選手もノア所属になった。とにかく俺が言いたいのは、旧・新日本プロレスの関係者たちは、みんなしぶといってことだよ。

蝶野正洋
1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。

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