エンタメ

『ミナミハタンポ&リュウキュウヤライイシモチ』東京都八丈島/神湊漁港産〜日本全国☆釣り行脚

日本全国☆釣り行脚
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

東京から南におよそ300キロメートル。太平洋にポッカリと浮かぶ八丈島で夜釣りです。警戒心が薄れる夜は大物が岸近くに寄りやすく、ただでさえ大物実績の高い島ゆえ、何がヒットするか分からない夜釣りはことさらに夢があります。

ところが、夕方から吹き始めた風は強さを増し、波も高くなってきたことから、外洋に面したポイントは少々危険な状況に…。こんな時、絶対に無理は禁物。せっかくの楽しい釣りも、自然の脅威に怯えながら竿を出したのでは台無しですから、安全に釣りが楽しめる場所でのんびりやることとしましょう。

日没を迎える頃にはますます強風となりましたが、風裏となる神湊漁港の港内へと行ってみると、さすがに水面も穏やか。これなら安全に釣りが楽しめそうです。荒天になりがちな離島の漁港はガードが強い分、港内は多少のシケにも動じないのが助かります。

日本全国☆釣り行脚 
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

「こういう荒れ模様の日は、ひょっとしたら大物が港内に入り込んでいるかも…」などと淡い期待を胸に、ブッ込み仕掛けにイカの切身を付けて投げ込んで待ちます。が、期待に反して待てどもアタリはありません。

元気な手応えで入れ食いへ

「大物はダメでも、せめてオジサン(ホウライヒメジ等)くらい釣れてくれれば…」と、早くも目標を下方修正しつつ、仕掛けを打ち返しますが一向にアタリはなし。加えて、火山島ゆえに港内といえどもガチガチの底質で根掛かりも多発。3本竿から2本竿に、そして仕掛けを作るのも面倒になって1本竿となり、気持ちも萎えかけてきた頃に、少し離れた場所で竿を出していた釣友が近づいて来ました。

「さっきからコレばっかりですよぉ」と手にした仕掛けに付いているのはミナミハタンポです。「そうだ! 南方で夜釣りといえばコレがいたじゃないのよ!」持つべきものは〝違う釣り方をする仲間〟ですな。ありがたや~。

日本全国☆釣り行脚 
日本全国☆釣り行脚 (C)週刊実話Web

当初の大物への志は消え失せ、そそくさと電気ウキ仕掛けを作り、安物のサビキ竿にセット。イカの切身を小さくちぎってハリに付け、適当にポチャンと仕掛けを投げ入れます。と、ほどなく波間に揺れる電気ウキの灯りがスゥーッと勢いよく水中に引き込まれました。軽く竿を立てるとキュキュンッ! と元気な手応えでミナミハタンポがハリ掛かりです。15センチほどの小魚ですが側扁体型なので実際の大きさ以上に引きは鋭く、再び仕掛けを入れるとすぐに電気ウキが引き込まれてミナミハタンポ。入れ食いです。楽し~いっ!

ミナミハタンポ
ミナミハタンポ (C)週刊実話Web

クセのないノドグロみたい

ひとしきり入れ食いを堪能し、そんなに持ち帰っても食べきれないので、小さい物は逃がしながら、型のよい物を数尾キープ。楽しい時間を過ごすことができて、お土産も確保できたことから、そろそろ竿を畳もうかというところで、そういえばすっかり忘れていました。ブッ込み竿を1本入れたままにしていたんですな。片付けようと竿を手にすると何やらビミョーな重さを感じるような…。巻き上げた仕掛けに付いていたのは、これも南方の夜釣りではお馴染みのリュウキュウヤライイシモチです。せっかくなので、これも一緒に持ち帰って晩酌の肴にすることとしましょう。

リュウキュウヤライイシモチ
リュウキュウヤライイシモチ (C)週刊実話Web

南日本の外洋に面した漁港の夜釣りでは、お馴染みの外道といえるミナミハタンポ。群れるため数が釣れるうえに、小魚のくせに口が大きいのでエサやハリを大きくしても掛かってしまうことから邪魔物扱いされることの多い魚です。でもこの魚、実は非常に旨いんです。ずいぶん前に一度食べた時から好きになってしまったワタクシ、今回は塩焼きで晩酌です。ついでにリュウキュウヤライイシモチは刺身と炙りでいただきます。

ミナミハタンポ塩焼き、リュウキュウヤライイシモチ刺身 
ミナミハタンポ塩焼き、リュウキュウヤライイシモチ刺身 (C)週刊実話Web

香ばしく、かつ脂乗りのよいミナミハタンポは相変わらず、テッパンの旨さで酒が進みます。こんな小魚なのに脂がしっかり乗っており、クセのないノドグロ(アカムツ)みたい、と言ったら言い過ぎでしょうか。

そして、リュウキュウヤライイシモチ。ネンブツダイをはじめ、この手のテンジクダイ科のフライは旨いので、刺身も期待をしつつパクリと一口。思いのほか旨味が少なくちょっとクセがあるような…。炙りも同じく旨味が薄いうえに、やはり磯魚特有のクセを感じます。とはいえ、旨いミナミハタンポにありつけて晩酌は満足。離島の夜釣りとしてはいささか物足りない釣果ではありましたが、天気には逆らえないということで、安全な港内で楽しめただけでもヨシとします。

三橋雅彦(みつはしまさひこ)
子供のころから釣り好きで〝釣り一筋〟の青春時代を過ごす。当然のごとく魚関係の仕事に就き、海釣り専門誌の常連筆者も務めたほどの釣りisマイライフな人。好色。

あわせて読みたい