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横綱・照ノ富士に囁かれる引退秒読み…“両膝の爆弾”限界説

相撲のぼり
相撲のぼり (C)週刊実話Web

何とも気になるウワサが駆け巡っている――。

今年は、とりわけ厳しかった冬の寒さに別れを告げる大相撲春場所が、3月13日から大阪市のエディオンアリーナ大阪で始まった。ところが、その主役であるべき1人、横綱の照ノ富士に、何と「引退秒読み説」が囁かれているのだ。

まだ横綱になって4場所にしかならない照ノ富士は、この不吉なウワサを吹き飛ばすことができるか。別の意味でも春場所から目が離せない!

春場所が大阪で行われるのは2年ぶり。上限75%の5600人ではあるものの、観客を入れての開催は平成31年以来、実に3年ぶりのことだ。御嶽海が新大関に昇進したことも重なって、大阪の相撲ファンは大喜びで、幕内の取組にかかる懸賞の数も初場所より240本も多い1610本に上った。

こんな盛況に水を差すように聞こえてきたのが、横綱・照ノ富士引退秒読みのウワサだ。出どころは3つある。

まず先場所12日目、照ノ富士は明生に敗れ、土俵下まで転落したとき、右足を痛めた。これが相当ひどかったことは、その後の手のひらを返したような不甲斐ない負けっぷりや、左足でケンケンして右足をかばう仕草からもうかがわれた。

「カカトを傷めた。足をつけない状態です」

3日後の千秋楽、NHKラジオに出演した兄弟子の安治川親方(元関脇・安美錦)はこう明かしたが、多くの協会関係者は、次のように証言している。

「古傷のある膝も傷めている。その証拠に、下半身にまったく力が入っていなかった」

もし膝まで波及していたら、事態は深刻。それを裏付けるように、場所後の照ノ富士は表舞台からプッツリと姿を消した。唯一、ファンの目の前に姿を見せたのは2月1日、明治神宮で行われた奉納土俵入りのときだけで、2月28日の新番付発表のときも、大阪入りしてからも、まるで動向が伝えられていない。

すでに引退への準備は整っている!?

「横綱といえば、協会の金看板。こんなに長い音信不通は異例のことです。おそらく裏で懸命に治療に励んでいたに違いありませんが、この沈黙が逆にケガの重大さ、事態の深刻さを示唆しています」(担当記者)

そうでなくても、照ノ富士の下半身は、いつ爆発炎上してもおかしくない爆弾を抱えているようなもの。たまたま節制と治療の甲斐あって序二段から横綱にまで巻き返す大相撲界きっての奇跡を生んだが、いつまでもこんな偶然と幸運に恵まれているとは限らない。

照ノ富士も、自分が危機的な状況に置かれていることを心得ている。去年の名古屋場所後に横綱に昇進したときの会見でも、「長く(現役で)取れたらありがたいけど、(自分の場合は)いつ何が起こるか分からない。すべてを出し切りました、というほど努力して引退したいけど――」と話している。もしかすると、〝そのとき〟がやってきたのかもしれない。

2つ目のウワサの出どころは、すでに引退後に備えて準備が整っていることだ。去年の8月には、相撲協会に残るために日本国籍を取得。師匠の伊勢ケ浜親方の姓の「杉野森」を頂いて杉野森正山という日本名も付けた。

「これで、自分がこれまでの相撲人生の中で学んだものを、次の世代に伝えていけるチャンスが開けました」

照ノ富士はこのように喜びを語っている。

まだ親方になるための肝心な年寄名跡は取得していないものの、横綱には引退して5年間、現役名のまま相撲協会に親方として残留できる特権があるし、心服している伊勢ケ浜親方が3年後には満65歳の定年を迎え、「伊勢ケ浜」が空く。いつ、引退してもいい環境にいるのだ。

美しくなかった先輩横綱たちの散り際…

3つ目のウワサの出どころは今場所の稽古不足だ。先場所後、大相撲界にも新型コロナウイルスが蔓延し、照ノ富士も2月4日に感染が判明した。おかげで先場所の雪辱を期してみっちり稽古するつもりだった〝復活のシナリオ〟は大きく狂ってしまった。

伊勢ケ浜親方は、悲観的に語っていた。

「(照ノ富士は)10日間ほど稽古を休みました。私の考えでは、1日稽古を休めば、元の状態に戻るのに3日かかる。照ノ富士は10日休んだのだから30日(が必要)。今、やっと元の状態に戻ったところ、という感じです。場所中も稽古してどこまで上げていけるか。非常に厳しい。まあ、相撲はやってみないと分からないものだけど」

泣きっ面にハチ、とはこのこと。白鵬をはじめ、モンゴル出身の先輩横綱たちの散り際は決して美しいとは言えなかった。白鵬は最後の3年間、出場と休場を繰り返し、鶴竜も5場所連続休場の末にやっと引退を決断した。

照ノ富士も、その足取りを見ても分かるように、忍耐強いが、半面、諦めも早い。しかも、先輩の2人と違って、師匠が元横綱経験者だ。兄弟子の日馬富士も、暴行事件が発覚するといち早く引退を決断している。照ノ富士も限界を悟ったら、「ここまでです」と、あっさり引退届を提出する可能性は高い。

もしそうなったら、大相撲界は平成5年初場所以来の横綱不在になる。29年ぶりの非常事態だ。

果たして照ノ富士はもう一度、意地と執念で奇跡を呼び起こせるのだろうか。その闘いぶりを、とくと注目しよう。

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