蝶野正洋 (C)週刊実話Web
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蝶野正洋『黒の履歴書』~女子プロレスブーム再燃は近い!?

3月はプロレスのビッグマッチが数多く開催される。


特に女子プロレスの勢いがすごくて、東京女子プロレスが3月19日、そして今、多くの人気選手が集まってきているスターダムは3月26、27日の2日間、両国国技館で興行を打つという。


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女子プロレスは、今まで何度かブームを起こしているけど、最近は40~50代の男性ファンが増えているみたいだね。ひと昔前の女子プロレス会場には選手と同世代の女性ファンが多く詰めかけて、リングに向かって黄色い声援を浴びせていた。それが今やオジサンたちがリングを拍手で見守って、サイン会に長い列を作っている。逆に、現在の男子プロレスの会場には女性ファンが増えているから、ちょうど客層が男女で入れ違ったのかもしれないね。


女子プロレスに男性ファンが増えたのは、選手たちのルックスが洗練されてきたというのもあるだろうね。もともとアイドルや女優をやっていた子がどんどん入ってきているし、そういう選手は自分の見せ方もうまいから試合も面白い。


これは指導の仕方がよくなったというのもあると思う。スポーツ経験がなかったり、運動能力が低い選手でも、短期間で試合ができるレベルに引き上げる練習法が確立されてきているんじゃないかな。


昭和のプロレス界は、新弟子を寮に住まわせて、ひたすら根性論で選手を育てていた。そのつらい境遇を乗り越えた者だけが、リングに立ってスポットライトを浴びることができる。

イケメンで強いとなったら嫉妬するだけ

でも最近は、まずデビューしてリングの楽しさを経験させて、そこから本当の競争を始めていく。アメを存分に舐めさせてから、ムチを入れていくスタイルともいえるけど、これは芸能界でも同じ。とりあえずグループでデビューさせて、そこから人気と実力のある者だけが残っていく。だからこそ、最初は人気が出やすいビジュアルが第1条件になりがちなんだよ。

男子プロレスもその傾向がある。これからデビューさせようと思ったら、ひと目でファンを引き付けるような顔やスタイルが重要になってくる。つまり、新日本プロレスでいうと天山、永田のような第三世代はまったく居場所がないということだね(笑)。


新日本プロレスも、猪木さんが仕切っていた頃はルックスも重要視していたんだよ。ただ、長州さんが現場監督になると、ゴツゴツした実力派ばかり採用するようになってしまった。


しかし、こういうタイプは男性ファンからは支持されるんだよ。自分より劣った見てくれの人間が、必死で頑張ってる姿は応援したくなるじゃない(笑)。これがイケメンで強いとなったら、嫉妬するだけだよ。今のシュッとした選手が増えた男子プロレスに乗れなくて、女子プロレスに流れたというおじさんファンも多いと思うよ。


とはいえ、すべてのおじさんファンが若くてルックスのよい女性レスラーが好きかといえばそうでもない。熟女好き、というのもいるからね。今、40代くらいの脂の乗った色気のある熟女レスラーがデビューするとなったら、話題になるんじゃないかな。いっそ熟女レスラーだけの団体があったら、俺も見に行きたいね。客席を見渡したら、『週刊実話』の読者ばかりになってそうだけど(笑)。
蝶野正洋 1963年シアトル生まれ。1984年に新日本プロレスに入団。トップレスラーとして活躍し、2010年に退団。現在はリング以外にもテレビ、イベントなど、多方面で活躍。『ガキの使い大晦日スペシャル』では欠かせない存在。