片山さつき (C)週刊実話Web
片山さつき (C)週刊実話Web

片山さつき参議院議員がブチ上げた自民党“派閥再編”へのノロシ

「片山さつきの派閥離脱騒動は自民党派閥再編への狼煙だ。これからポスト岸田を巡って壮絶な陣取り合戦が起きようとしている」


こう内幕をバラすのは自民党長老。長く田中派、福田派、宏池会という3主流派の流れを汲んできた自民党内に新たな権力闘争を孕んだ大再編が起こりつつあるというのだ。


【関連】夏の参院選に遺恨…『石川県知事選』仁義なき“保守3分裂”裏リポートほか

自民党長老の分析を聞く前に「さつき騒動」について、大筋の流れを振り返ってみよう。


片山元地方創生担当相の二階派離脱騒動が表沙汰になったのは2月21日。派閥会合の連続欠席などを理由に二階派は片山氏に事実上の除名措置にあたる『退会勧告』を突き付けた。これに対し片山氏は翌日、記者会見を開き「昨年12月に二階(俊博)会長に直接、退会の意向を伝えている」と猛反論。そして、片山氏はこう付け加えた。


「この除名は名誉毀損や人権侵害です。明確に離れたいと言っている人を身に覚えがないことで後ろから石を投げている」


片山氏は法廷闘争も辞さない姿勢もチラつかせるほどのブチ切れよう。逆ギレされた二階派事務総長の武田良太前総務相は「会長に口頭で言っても正式ではない。文書で手続きするのが筋」と批判、「除名処分」を撤回する気はサラサラないドロ沼の様相だ。


では、「さつき騒動」がどう派閥大再編のトリガー(引き金)になるのか。自民党長老が解説する。


「さつき騒動は、単に一国会議員の派閥離脱ではない。安倍派会長の安倍晋三元首相が昨年、自民党総裁選絡みで片山を安倍派に誘ったことに端を発している。その裏には、安倍氏が安倍派の影響力を拡大させ、ポスト岸田へのキャスティングボートを握る野心が潜んでいる」

足元を見透かされた片山氏…

昨秋に行われた自民党総裁選。安倍元首相はアベノミクスを忠実に遂行する菅義偉前首相を支援せず、切り捨てた。返す刀で全面支援したのがタカ派の子飼いである高市早苗政調会長。

「安倍氏は高市氏を担ぎ、票集めに動いた。ターゲットの1人が片山だ。〝高市に投票すれば、安倍派入りと次の選挙の全面支援〟を持ち掛けたようだ」(同)


足元を見透かされた片山氏は、安倍元首相に乗った。というのも、片山氏は今夏の参院選で改選を迎えるうえ、二階派内での立ち位置が盤石でないからだ。


「片山氏は比例で公認だが、二階派では昨年、林芳正外相の衆院鞍替えで引退に追い込まれた河村建夫元官房長官の長男も比例出馬する。そのため二階派は長男に全力注入で、片山氏はその次。落選する危険性もある。その情報を得た安倍氏が片山氏に空白選挙区公認をチラつかせて引き抜きを図り、脱会騒動につながった」(自民党ベテラン秘書)


安倍元首相はなぜ、安倍派引き入れに躍起なのか。


「岸田首相-林外相の宏池会タッグが圧倒的な力をつけることに、恐れおののいているからだ」(前出・長老)


次の総選挙では、1票の格差是正に伴い山口県は定数削減で安倍元首相と林外相が〝骨肉の争い〟を繰り広げる展開も孕んでいる。林外相はポスト岸田の筆頭格。しかも、地元最大企業の宇部興産創業者にも直結する家柄で東大卒、ハーバード大修了の経歴を持つ。「地元では、これからの林外相を推す声が優勢」(政界関係者)と、もっぱらだ。


世代交代の流れを阻止するには、安倍元首相にポスト岸田を自在に操れるパワーが必要不可欠なわけだ。


「数は力。自民党最大派閥の安倍派(94人)の勢力を少しでも増やしたい。片山氏はもちろん、高市氏も派閥に加えたい。ロシアのウクライナ侵攻で飛び出してきた米国との核シェアリングにも積極的な姿勢を示している。自民党保守派をガッチリとつかみ、親中派の林外相を圧倒することこそ、自身の存在感を誇示する絶好の機会と捉えている」(同)

“第3勢力”として注目されている菅前首相

まさに自民党内の派閥抗争に発展しつつある「さつき騒動」。ここで第3勢力として注目されているのが、菅前首相だ。

「安倍氏と岸田首相に再選の道をつぶされた菅氏だが、再浮上をもくろんでいる。岸田首相を支える麻生派から離脱した佐藤勉前総務会長ら4人を含め、桜の咲くころ新派閥立ち上げを準備しているようだ。ここに集結するとウワサされるのが、二階派を差配する武田前総務相と、石原派を引き継いだ森山裕総務会長代行。その数は約70人と見られている」(自民党ベテラン議員)


第4、第5の動きもある。


「震源地は佐藤前総務会長らの退会で第3派閥に陥った麻生派です。会長の麻生太郎副総裁は今年9月で82歳になり、求心力に陰りが見える。そこで囁かれているのが河野太郎党広報本部長だ。麻生氏は昨年の総裁選で出馬した同派の河野氏を支持しなかった。これに河野氏を担いだ麻生派若手の不満が爆発した。機を見て麻生派を離脱し、河野派を結成、ポスト岸田取りに動くと囁かれているほど。麻生派は解体寸前の危機だ」(麻生派中堅議員)


3月2日、石破茂元幹事長率いる石破グループの初勉強会には56人が出席した。小泉進次郎前環境相の人気も依然として高い。


自民党内の「さつき騒動」は「五月雨」模様。