相撲界も春は躍動の季節。その中で一段と精力的に動いているのが、元横綱・稀勢の里の二所ノ関親方だ。同親方は昨年8月、出身地の茨城県内に部屋を興している。
「建物は5月に完成予定で、ほかの部屋には一面しかない土俵を二面作り、ミーティングルームや見学者のためのお土産コーナーまで備えた画期的なものになるそうです。引退後、早稲田大学大学院で学んだ近代的な部屋運営や弟子育成法などをどう生かすか、協会の親方たちも熱い視線を注いでいます」(担当記者)
こんな二所ノ関親方への期待の大きさを見せつけたのが、1月15日付での名跡変更。それまで「荒磯」を名乗っていたが、定年退職する前二所ノ関親方(元大関・若嶋津)が、「二所ノ関は由緒ある名跡。将来、協会の中心を担ってほしい」と、願いを込めて交換を持ちかけたのだ。
さらに初場所後、尾車親方(元大関・琴風)が定年のために部屋を閉じることになり、同部屋から中村親方(元関脇・嘉風)、力士8人と呼び出し1人の計10人が合流した。熱血漢の中村親方が、二所ノ関親方の斬新な意気に感じ入ったといわれる。
既成概念にとらわれない運営
そのため力士4人、行司1人でスタートした二所ノ関部屋は、あっという間に大所帯に膨らみ、今や堂々たる中堅部屋だ。伝統を守りながら、既成概念にとらわれない運営を目指す二所ノ関親方の姿勢に、地元関係者からも広い支援が集まっているという。
もちろん二所ノ関親方も、周囲の温かいバックアップに甘えてばかりはいない。自ら弟子集めに奔走し、昨年暮れには関東高校王者をスカウト。2月にも長野県木曽町中学校3年の双子兄弟の入門を決め、すでに周囲へのあいさつを済ませている。
「春場所後の新職務分担でも、二所ノ関親方は『花形の審判委員に抜擢されるのでは』とのウワサがもっぱら。これからどんな関取を育てるのか、その手腕に注目です」(協会関係者)
いつか二所ノ関親方が、相撲協会のど真ん中で輝く日が来るだろう。
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