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中日・立浪監督「根尾二刀流」に着手!チーム改造へ“番長・清原和博”の後押し

清原和博 
清原和博 (C)週刊実話Web

中日が2018年のドラフト1位、根尾昂選手の「二刀流」改造に着手した。

「今季は外野一本」を命じた立浪和義監督に対し、応援番長の清原和博氏が「固定観念は悪」とダメ出し。日本ハム・新庄剛志監督のお株を奪う大シャッフル開始!

「中日の根尾昂、早くも外野手一本をやめるってさ。応援番長・清原氏のダメ出しで、二刀流に改造するんだと…」

沖縄でキャンプ取材を続ける野球解説者が、こうつぶやいた。4年前のドラフト会議で中日に1位入団した根尾選手が、野手に加え投手も兼任し〝二刀流〟に挑むというのだ。

「今季は3年ぶりに延長12回制が復活する。ポジション全般の見直しに着手し、立浪監督は根尾の二刀流を打ち出しました。話題を提供する新庄監督の向こうを張ってシャッフルするのです」(スポーツ紙記者)

発端は、2月22日に清原氏が8年ぶりに行ったキャンプ視察にある。16年の薬物事件以後、各球団とも清原氏を事実上の〝出禁〟にしていたが、PL学園の2年後輩にあたる立浪監督が受け入れ、沖縄・北谷のキャンプ地訪問が実現した。

黒いスーツで現れた清原氏を、立浪監督は直々に出迎えて三塁ベンチに案内。投打の練習を見ながら歓談を楽しんだ。途中、PLの後輩でチームリーダーの福留孝介が挨拶に駆けつけたほか、成長が期待される根尾や石川昂弥には声をかけて打撃指導も行った。

「立浪監督がグラウンドに立っている姿を見て嬉しかったし、感動しました。キャンプを見させていただいて、ドラゴンズ球団に感謝の気持ちでいっぱいです」

ベンチ会談の内容までは明かされず、助言については言葉を濁した清原氏。しかし、立浪監督もこれに、「必ずいいチームを作りますと先輩の前で誓いたい」と微妙な言い回しにとどめていた。

思いもよらぬ清原氏の助言

ところが、清原氏の助言が思わぬ形で取材陣の知るところとなったのは、翌日の練習だ。清原氏は立浪監督と片岡篤史二軍監督のいる読谷村に移動したが、中日の一軍ブルペンでなんと外野手選任を誓った根尾と、さらに内野手の石川、岡林勇希外野手、ドラフト2位のルーキー鵜飼航丞外野手の4選手が異例の投球練習を開始したのだ。

大阪桐蔭出身の根尾と、東邦高校(愛知)出身の石川は、ともに甲子園の優勝投手。菰野高(三重)出身の岡林と、中京大中京高から駒澤大を経た鵜飼も元投手で、いずれも150キロ超のポテンシャルを秘めた元怪物。ドラゴンズ事情に詳しい放送関係者によれば、清原氏が「根尾は野手という固定観念を捨て、投手を試してみてはどうか。ファンは彼の二刀流を心待ちにしている」とアドバイスしたのだという。

ご存じかもしれないが、根尾は高校2年の春、3年の春と夏で全国制覇を達成。背番号6を背負いながら時にマウンドに立ち、最速150キロのストレートを武器に春のセンバツで史上初の2年連続優勝投手に輝く一方、打撃でも高校通算32本塁打を放ち「二刀流」で甲子園に旋風を巻き起こした。

しかし中日に入団する際、「野手一本」を決断。遊撃手にターゲットを絞ったものの、守備力の高い京田陽太という大きな壁が立ちはだかるため、入団以来、内野と外野を転々としている。

そんな根尾の肩に、キャンプを視察した清原氏の目が止まった。右翼からホームへのノーバウンド送球は、イチローを彷彿とさせる正確なレーザービーム。これを放っておく手はないと、高性能の肩に舌を巻いた。

翌日のブルペン投球で、根尾は突然だったにもかかわらず25球を投げ、最速144キロをマーク。鋭く曲がるスライダーにもキレがあり、落合英二ヘッドコーチ兼一軍投手コーチも驚きを隠さなかった。

高校時代は最速144キロだが、しっかり肩を作り直せば150キロも夢ではない。高校時代に最速153キロをマークした岡林も、145キロを記録。こちらも二刀流で戦力となる可能性を示した。

「二刀流」でフル出場の期待

中日の外野手は中堅の大島洋平だけが安泰で、両翼は流動的。立浪監督は根尾、岡林らの若手に期待を寄せる一方、昨秋のドラフト1位ルーキーのブライト健太、2位の鵜飼、6位の福元悠真の大学生外野手3人に期待しているという。

ベテランの福留や平田良介もいる上、捕手登録のA・マルティネスは外野でも出場可能。おそらく、昨秋の監督就任発表時点で「投手根尾」を視野に入れていたのだろう。

「今キャンプで立浪監督は根尾に右翼専念を命じ、中村紀洋一軍打撃コーチが打力強化を図ったものの、外野一本では厳しいと判断したようです。それを今さら投手との二刀流では混乱が予想されますが、この構想に清原氏を投影させることで、あらゆる反発を封じられるという計算もあるのでしょう」(中日OBの野球解説者)

立浪監督が描く二刀流は、昨季のメジャーリーグMVP、大谷翔平のような「先発・DHスタイル」ではない。右翼と内野、中継ぎと抑えを含めた「オールラウンダー型」。地元出身の選手だけに、「二刀流」でのフル出場への期待は高まっている。

ここに透けて見えるのが、日本ハム・新庄監督に一矢報いようという立浪監督、片岡二軍監督と、清原氏、および中日陣営の「あうんの呼吸」。新庄監督が「先入観は罪、固定観念は悪」という故野村克也さんの教えに沿って「全ポジション白紙スタート」をアピールしたことを逆手に取って、先制の「二刀流」を編み出したのだ。果たして、どんな結果が出るのだろうか。

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