日本全国☆釣り行脚~『シマイサキ』~高知県高知市/堀川産

すっかり秋も深まり、少しずつ冬の足音も聞こえ始めております。気温の低下に比例して水温も徐々に下がり、魚の活性もそれに伴って低くなっていきます。もちろん水温が低下することで盛期を迎える魚もいますが、いずれにしても賑やかな釣りを満喫するのは今のうちなのです。

ということで、今年も暖かい場所への逃避釣行の季節がやって参りました。手始めに、高知県へと出かけることにします。

昔から「南国・土佐」と言うくらいですから、温暖な気候は間違いないところ。目の前に広がる土佐湾は黒潮の影響を強く受ける海域ですから、晩秋と言えども賑やかな釣りが楽しめるはずです。

高知龍馬空港の到着ロビーにデカデカと書かれた、「ようこそ、南国高知へ!」のフレーズに出迎えられ、高知市内へと向かいます。市内の釣具店でエサを購入し、竿を出そうと目を付けていた堀川へ向かいます。到着の頃にはすでに日が暮れており、「すっかり日が短くなったもんだなぁ」と、しみじみ感じながら釣り座を探します。

狭い隙間のセコい釣りが性に合う!

堀川は市内中心部を流れる小さな水路で、両岸にはビジネスホテル等が建ち並ぶなど、およそ釣りをするような場所ではありません。両岸の遊歩道には桜の木が植えられており、春には花見がてらに散歩するなんていうのがピッタリな景色ですが、釣り場としては意外とこういう場所が〝穴〟なんです。

ということで、エサと一緒に買ったその店で一番安いセット竿(リールとセットで1980円!)に胴つき仕掛けを結び、エサのアオイソメを付けたら、岸と桟橋の狭い隙間にそ~っと仕掛けを落とします。

水深は1メートル弱と予想通りの浅さ。せっかく南国・高知まで来たのですから、普通の人なら外海で豪快な釣りをすることでしょう。でも、いいんです。ワタクシ、こういうセコい釣りが性に合っているんです。

「日中は桟橋の下に潜んでいる連中が、夜になると口を使う(エサを食う)のでは?」などと思いつつ、静かに探っていくと、「コツッ!」というわずかな感触に続いて、「ゴクゴクンッ!」という力強い反応が伝わりました。やはりいたか!

十分に食い込んだであろう頃合いで竿を煽ると、「グンッ!」と重量感が伝わりました。しかし、桟橋の下へ潜り込もうとする魚の引きをいなそうとした瞬間に、フワッと軽くなり…ハリスを切られました。う~ん、思った以上にマトモなヤツが潜んでいたようですな。

落ち込んでいるヒマはありません。仕掛けを組み直して再チャレンジです。ただ、バラしたばかりで気持ちは興奮気味。それを桟橋に腰掛けて落ち着いてアタリを待つことにします。竿も傍らに置き、川辺での静かな時間をすごします。

「キュンキュン♪」

竿を置いた直後、いきなり竿先が踊りました。アタリの多い釣りって、落ち着かないけど楽しい♪

先ほどの失敗を繰り返すまいと慎重に構えると、勢いのある引きが伝わります。でも、そのわりに重量感はありません。釣り上がったのは20センチほどのシマイサキでした。それにしても、この魚はサイズのわりによく引きますな。

先ほど糸を切って逃げた魚とは明らかに違う小物の登場に、拍子抜けの感は否めませんが、まずはお土産確保でひと安心です。それにしても、さすがは高知。市街地の水路で開始早々から反応が続きます。これは侮れません。

まだ始めたばかりですし、長い水路にポイントは無数。先ほどバラシた魚と同じようなヤツもまだまだ潜んでいるハズです。何としても釣り上げてやらねば気が済まないので、じっくり探って行くことにしましょう。この模様は、また次回にて。

素朴な白身と地酒で深酒…

白銀に黒のしま模様という特徴的な容姿から、当地で〝スミヒキ〟と呼ばれるシマイサキ。この標準和名も、イサキに似た体形+しま模様ということで名付けられただけであり、イサキの仲間ではありません。やや南方系が強く、中部地方以西の黒潮の影響が強いエリアの内湾、汽水域で目にします。たいして大きくならないことや、まとまった漁獲量にならないことから、鮮魚店やスーパーマーケットで目にすることはほとんどありません。言い方は悪いですが、すべてが中途半端な魚といった印象です。